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アニポス寄付先インタビュー第3弾|アニマルレフュージ関西さん

2023年9月29日

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アニー先生

「アニポスで行われている寄付は、実際にどのように使われているの?」

ペット保険金らくらく請求アプリ アニポスを提供する弊社、株式会社アニポスでは、アプリの利用数に応じて動物団体へ寄付を行っております(寄付金の原資は弊社負担です)。

寄付を行っていることをご存知の方も多いと思いますが、

「アニポスが寄付を行うことは良いけど、寄付金はどのように扱われてるの?」

「本当に動物の役に立っているの?」

気になる方も多いのではないでしょうか?

そんな声に応えるべく、アニポスが過去に寄付を行った動物団体様に対し、インタビューを実施いたしました。

第3回は、大阪府豊能郡能勢町にあります、認定特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西さんにインタビューをさせていただきました。

出席者

認定特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西:奥田さん

アニポス:北條な(ファシリテーター),北條ひ(サブファシリテーター)

Q.アニマルレフュージ関西様の概要を簡単に教えていただけますか?

アニマルレフュージ関西さん提供画像
アニマルレフュージ関西さん提供画像

奥田さん:代表が、イギリス人のエリザベスオリバーという女性で、1990年に任意団体として活動を始めたことがきっかけになっております。当時代表は大学等で英語の教師をしておりまして、仕事の傍らに、ライフワークみたいな感じで、動物の保護を仲間内で行っていました。

一番大きなきっかけは1995年の阪神大震災でした。震災時に延べ600頭ぐらいの動物を受け入れ、保護しました。

震災時の保護により、 施設として大きくならざるを得なかったというか。 注目や支援なども集まりやすくなったという経緯もあり、1999年にNPOとして立ち上げをしました。23年で33年になりますが、2016年に大阪府から認定をいただき、認定特定非営利活動法人(認定NPO)に変遷しました。

認定NPOという形態なので、普通のNPOと異なり、寄付が税金の控除対象になります。イメージではふるさと納税ですね。年末調整で皆さんにそのご寄付分の還付を受けていただけます。企業さんも、損金算入等ができ、税金の対策にもなります。

認定をいただくことは寄付をする側にも大きなメリットがあるのは特徴ですね。

北條な:600頭って、ものすごい数ですよね。

奥田さん:そうですね。正直この数は、これから引き受ける頭数ではもうないだろうなとは思います。

そもそも1995年は動物保護団体がほとんどなく、個人の活動家さんもごく少数でしたので、アニマルレフュージ関西として、受け皿にならざるを得なかったっていうのがあるのかなと思います。

保護を続ける中で、震災で活動してるイギリス人女性という個性もありまして、皆さんから注目を集めました。

報道が出れば、支援も頂けますが、その倍以上、 救助や引き取りの相談が来てしまう表裏ワンセットなのもこの業界の実情なのかなとは思います。

北條な:なるほど、イギリス人女性のエリザベスさんが設立されたんですね。

奥田さん:そうですね、1940年生まれ83歳ですが、おかげさまで元気に代表やってます。もちろん年齢もあるので、今はスタッフ達が日常業務を担当し、運営を後ろから見守ってもらっています。

北條な:なかなかユニークなストーリーですね。

奥田さん:そうですね、さらに元々代表は講師として日本に来日しています。日本の文化、東洋のエキゾチックな雰囲気が好きだったそうで。日本の美しさや骨董品、伝統工芸品が好きなので、旅先の名産もよく買ってきてくれたり。それぐらい日本のことが好きですが、来日当初から日本の動物福祉の遅れなどの課題は、常日頃指摘してますね。

北條な:”ペットに関する遅れ”ということですか?

奥田さん:そうですね。もちろん、法律もですが、一般の飼い主さんの意識がやっぱり低い。

北條な:飼い主さんの意識ですね。

奥田さん:はい。3~40年前の話ですが、移住先が、大阪の山間部なのもあり、皆さんの中では死語かもしれないのですが、動物のことを「畜生」と呼んでいた時代ですから、 動物の扱いが非常に悪い、家族として扱われてない点に非常に心を痛めていたと聞いています。

北條な:確かに30年前の日本の動物の飼育環境は今より課題は多そうですね。犬や猫が室内飼いになったのも割と最近に感じます。

奥田さん:イギリスはもう1800年代に、既に家畜に対しての規制や保護する法律も制定されています。日本は今ですらまともなものはないので、極端な話、数百年近く遅れてるというのが、我々も感じるところではありますね。

北條な:数百年…!今は追いついたのでしょうか?

奥田さん:海外も法律の不具合は常にアップデートされていくので、日本がどこまで迫ってるのかなというところはあります。

日本が大きく違うのは、 海外、イギリスとか欧米の場合は、動物虐待などに関しても、取り締まりが非常に厳しく、動物を保護する権限は非常に強いです。

日本はまだ所有物としての権利の方が強いので、警察など他の方々が助けてあげたいなと思っても法律の面で邪魔してしまうとか、手段が日本にはありません。

虐待を目の前にしても、なかなか手が出せず、動物が苦しんでる状況を、指を加えて見てるしかないっていう状況は正直あります。

加えて、ペットショップで動物を買う文化がまだ根強いところも1つの問題かなとは思います。

北條な:国外ではペットショップが減っていると聞きますね。

奥田さん:そうですね。イギリスなどではペットショップで動物を買うことが法律に厳しく規制されてるわけではなく、消費者の方が、嫌だ、NOを突きつけて淘汰されていくところで、動物への意識が国外の方が進んでいると感じています。

あとは、保護施設から動物をもらうこと、保護施設にいい飼い主さんだって認めてもらえることが、ステイタスになるという考え方もあります。

例えばイギリスだと、バタシーという有名な組織があります。

バタシーから譲渡された子はメダルをつけていて、そのメダルをつけている動物を散歩で連れているっていうことはいい飼い主の証だという、そういう価値観っていうのもあります。

北條な:日本だと血統書とかの方が、ステータスになってる気がしますね。

奥田さん:そうですね。誰も持ってない犬種、猫の種類や、色が珍しいなどに価値基準がありますよね。

北條ひ:バタシーさんから譲渡してもらうには、飼い主側も一定の生活水準を超えてないといけないのですか?

奥田さん:おっしゃる通りです。

助けてくれるから誰にでも譲渡するというより、組織が設定する基準に満たない方には譲渡しません、というスタンスななんですよね。なので、譲渡してもらえた飼い主は一種のステータスに繋がるのかなとは思います。

北條な:日本でも浸透してほしい考え方ですね。

奥田さん:そうですね。今多くの団体は、1度辛い思いした動物たちが、再度辛い思いをしないように譲渡基準を高いレベルで設定されているとは思います。

ですが、いろんな方の声を聞いてると、高い譲渡基準が上から目線だとか、 保護施設ってめんどくさいよね、それだったらペットショップで買うよねという考え方も多くありまして。動物を飼う側の考え方も、まだ課題がある気はしますね。

Q.寄付金は、具体的にどのような活動やプログラムに使われているのでしょうか?

アニマルレフュージ関西さん提供画像
アニマルレフュージ関西さん提供画像

奥田さん:我々の会計で寄付金の区別は使途を指定されない限り基本的にしておらず、例えばアニポスさんのご寄付を区別して使用はしておりません。なのでざっくりにはなりますが、医療費が皆さんにイメージしやすい使い道だと思います。

医療費は動物が抱えてる疾病に対しての治療のほか、予防治療で使うこともあります。

医療費と一口に言っても多岐に渡ります。例えば、お薬なのか、処方食のような、高価なドッグフード、キャットフードになるのかとか。

外科処置、手術みたいなものに使われるのか、検査費用に使われるのか、医療費と言っても、細かくそういうものがありますので、結構な金額にはなります。

血液検査も、1万円を超えることは珍しくないですし、外科処置、動物の不妊去勢手術とかでも、数万円は平均的にかかってきますので、高額な医療費などに皆さんのご支援を充てていくのが一つですね。

あとは、他の団体さんと少し違うのは、シェルターでは、ボランティアさんのお力もお借りはするんですが、基本的には有償のスタッフを中心として運営しています。

フルタイムで働くスタッフを中心に活動してますので、例えばボランティアさんが1日不在でも、動物のお世話が完結できるよう、 動物の頭数とスタッフの数のバランスを取っています。

寄付金は最低限必要な人件費にも回しています。

ただ、ご寄付いただいてる方の中には、寄付を人件費に充当することにご理解いただけない方もいらっしゃいます。動物の慈善事業は、基本的には無償でやるものじゃないのか、というご指摘を受けたりするので、我々は基本的にはほぼ会社組織として成り立っている、というご説明はします。

また、安定的な運営ができるよう人的支援が少ない状況でも、全てのことが完結できるようにしているというお話をしています。

他の団体さんは、ボランティアさんで一時預かりや、お世話も回していたりが多いのかなと思いますが、アニマルレフュージ関西としては、経費として占める人件費の割合が結構大きくなっています。

北條ひ:ちなみに、Webサイトを拝見したのですが、拠点が3拠点あるのですか?

奥田さん:ええ、兵庫県丹波篠山市の施設が新しく作っている複合的な施設になります。

大阪の能勢(のせ)という、大阪でも、一番最北端にあるところが本部でして、この能勢の施設で借地も含めて大体1000坪です。

現在、大阪の施設では、犬、猫、半々50:50ぐらいの割合で、 トータルで50頭ぐらいの保護を上限としてお世話しています。6、7年前でしたら、大体ここの施設に300頭弱位居ました、 600頭受け入れたのもこの大阪の施設です。

北條な:結構な規模の施設ですね。

北條ひ:当時と比べたら、今の方が一頭一頭に手厚く面倒をみれているのですか?

奥田さん:おっしゃる通りで、クオリティーを求めた結果のバランスです。

あと結局はご寄付に頼りながら運営する団体ではありますので、 無計画に保護せず、身の丈にあった動物のお世話できる頭数、大体、1人10数頭っていう目安を持ちながら運営しています。これはかれこれ20年くらい変わらない理想でして、10数頭を1人で担当できれば、ある程度満足がいく世話ができます。担当できる頭数を超えてしまうと、1頭1頭にかける時間が少なくなり、注意が行かなくなるので、些細な動物の病気のサインであったり、予兆を見逃しやすくなったりとか。管理不足も散見されるようになります。

北條ひ:スタッフさんはどのように担当を分けられてるのですか?

奥田さん:基本的には、ここのゾーンは、今日はこのスタッフたちでやる、明日は別のゾーンを担当するなど、なるべく1人がたくさんの動物を扱うような仕組みにしてます。

管理する上では、担当を決めるのが楽なんですけれども、動物の社会性も考えると、限られた人間でお世話をして、限られた人間しか扱えない動物は譲渡しにくいです。

一頭一頭が多くの人間と触れ合い暮らしていける社会性を養うことも、その子たちが新しい里親に選ばれやすくなるアドバンテージにもなります。例えば1人、2人だけなど、特定のスタッフしかお世話ができない子をなるべく作らないようにしてます。

北條ひ:人とのコミュニケーションの練習も兼ねてる試みですね。

奥田さん:そうですね。昔からずっと言われてるんですが、お世話してるスタッフが1人欠けても、きちんとその穴が埋められるような形で運用していくっていう必要があるのかなと思います。

Q.貴団体が社会に対して広く認知させたいことがありましたら教えてください。(SNSやメディアで流布している情報と実情の違いなど)

アニマルレフュージ関西さん提供画像
アニマルレフュージ関西さん提供画像

奥田さん:動物を殺処分から救うという部分に注目されすぎて、新しい家庭に迎えられるまでの動物たちの生活の質にあまり注目されていないことに危機感を覚えます。

結局、良くも悪くもキャッチコピーとして、殺処分0っていうところがかなり注目されてきてる中で、保健所に収容された子が殺されなければいい、というような形での保護活動っていうのは、ちょっと違うのかなと思います。

譲渡を目標にしているシェルターの活動は点(殺処分からのレスキュー)で捉えず線(レスキューから譲渡まで)で評価されるべきだと思います。

その子たちが助かったその日から、その子たちにはきちんとした生活をさせる、その責任が助けた側には発生します。

助けた後に狭いところに閉じ込め、自由がない状態を続けたりとか、お世話が行き届かないというのは違うのかなと思います。

死なないことが正義ではない、死なないことの方が辛いことがいくらでもあるっていうのが、自分たちが活動の中でずっと感じてきたことなので、 そこの評価ということを改めて皆さんにも振り返っていただきたい。

例えば、どこかの行政が殺処分0を継続してる、その裏に本当は何があるのか。

例えば、その限界を超えた収容をずっと続けてる団体さんの存在で殺処分0の目的を達成されているだけであれば、やはりそれは違う、大切なことが抜けていると思います。

上手く育てられなかったとか、こんなはずじゃなかったっていう相談もやはり多くはないですがあります。その中で、それをさせないような仕組みといいますか、きちんと飼えるような知識を得る場、そういったものに触れられる、アクセスがいいような状況っていうのは必要だと思います。

殺処分0について、加熱している所でいくと野良犬の繁殖が多い地域もあると思います。たとえば西日本以西、関東だったら北関東とか。そういった地域の団体のアプローチが、抜本的な解決が全くされないまま、保健所とかの行政施設が、捕まえやすい動物だけを施設に入れて、殺処分までの期限に、小犬が殺されちゃうとか皆さんが大慌てで奔走されている。蛇口が閉まらない水道にずっと手をかざしてるようなイメージで、本質的な改善には進んでいないと思います。

海外でも色々議論されているペットの「オーバーポピュレーション」の課題は日本でもあると思います。

日本で動物を飼える人、一家庭で飼える頭数って限界があると思います。極端な話、1つの家庭で10頭も20頭も飼えるならいいと思いますが、一般的に家庭で飼える頭数は1、2頭ぐらいだと思います。

そういったキャパの面でも、譲渡だけが進めばそれでいいっていう問題では、もはやないのかなと思います。

殺処分0になることは良いですが、自分たちはやっぱりそのあたり、 ゼロにしたいがために、無理な譲渡や無理な収容っていうのを見てきてる中で、数字に固執しすぎてるところはやっぱり感じてるというんですかね。

ゼロになる仕組み作りを、団体さんの頑張りだけでという話になっちゃうと、やっぱり違うというか、もっと根本から向き合う必要があると思いますね。

北條な:こういうお話は、一般人にはなかなか知る機会がないですね。

奥田さん:ええ、団体さんもキレイな部分しか見せないので、仮にキレイな譲渡施設を作ってても、後ろで沢山の動物を抱えてるバックヤードみたいなものがある団体さんは日本中にあります。

施設をどんどん拡張してるようなところは、結局は、 譲渡が難しい動物を溜めていく場所を作っていくような形で運営されているので、お金がいくらあっても足りないですよね。

譲渡されずに保護施設にずっといる動物というのは、ただご縁がない以外にも、病気があったり、人間側の都合で言う問題行動、飼いにくい性質があったり、 性格的に極度の怖がりで、飼い主さんがその子と暮らす想像ができないなどの原因もあります。

治療やしつけであったり、そういう子たちの課題を改善しながら譲渡していく形を作っておかないと、ただただ、バケツをどんどん用意しながら、 水を受け止めている手のひらがダメならバケツにするけど、バケツが1つ目いっぱいになったら 2つ目持ってくるっていうようなイメージになります。やっぱり、蛇口が閉められるような取り組みっていうのは必要ですね。

そういうバケツに溜まってしまった水が、捨て置かれないというか、ほっとかれないような、方策というのは必要なのかなとは思います。

北條な:そのためには、去勢とかをしっかりやるとか。

奥田さん:もちろんそうですね、ただ、施設さんでも譲渡前の不妊去勢手術をされないところも少なくはないです。

不妊去勢手術に関しては、各団体のポリシーの問題なので良し悪しを一概に言えないところがあります。ただ、普通の団体さんはするかなっていう感じですかね。

私たちとしては譲渡前の不妊去勢手術はやるべきだと思います。ただし、資金力の弱い団体さんはそこまでいかないとか、 キャパの関係でどんどん動物を譲渡していかないと管理しきれないというところで、仕方なしに、不妊去勢手術をしないところもあります。

北條ひ:動物保護団体の、保護環境などのガイドラインを決めた方がいいんじゃないかという団体さんもいたのですがその辺はどう思いますか?

奥田さん:実は基準はちょっと前からありまして、動愛法(動物愛護管理法)の新しい基準で、団体、飼育施設の1頭当たりの延べ床、平米数などはある程度設定されています。

ドッグランがあるのか否かとか、ケージや狭いところに閉じ込めるけど、運動を何時間以上させられるのかとかという、そういった細かな基準はあります。

奥田さん:その自治体によるんですけど、行政でも立ち入り調査とかされてるところもあります。

実際に、施設の1つの犬舎を図って平米数出して、犬の大きさや種別を見て、適性な広さの基準はあります。我々も1回審査を受けてます。基準は全て満たしていますが、基準をクリアしてない団体さんは山ほどあると思います。

北條ひ:改正された法律によって、立ち入り調査が進んで環境が良くなっていったら、徐々に保護環境は向上していくでしょうか。

奥田さん:そうは思わないです。 結局は、殺処分とかを阻止されてるのは、そういう無理な保護をされてる団体さんが多いんです。ですので、行政が、そういった団体を規制をかけて潰していくのかっていう話になるので。

現場サイドの行政の方と話をすると、「実情を分かってない官僚が作ったもので、これを使って規制をかけていった後に生まれる行き場のない動物たちの行き先はどうなるのか。殺処分0って言ってる中でどうするつもりなんだろう。行政施設にたくさんの動物を収容できないよ。」っていう話もされてるぐらいなので、ここからもうすでに矛盾が生じてるっていうんですかね。

もちろん、どこかのタイミングでは、その規制を用いて適正に飼育管理ができる団体しか残っていけないような形にすべきだとは思います。

しかし、今の現状でいくと、そういう団体さんが倒れちゃうというか、ダメだってなっちゃうと、じゃあ動物たちはどこに行くんですかっていう話になると思います。ここは非常に難しいですね。

北條ひ:板挟み状態と言いますか。

奥田さん:そうです。ですので、これはもう団体さんの中で、これではダメなんだっていうところで徐々に変えていくしかないのかなとは思います。

Q.団体として、動物福祉に関する目標や計画はありますか?将来的にどのような貢献をしたいと考えていますか?

奥田さん:定期的に動物の収容場所は綺麗にリフォームしてるのですが、できれば直近1、2年ぐらいで兵庫県の篠山の施設に新しい猫の収容棟を作りたいと思っています。

計画は以前からあり、ある程度資金のめどがついたので、最近推し進めているプロジェクトになります。8年前と6年前だったかな、その敷地に犬の収容棟を建てたのですが、とにかく日本で一番いい施設を、動物の収容施設の日本のお手本になるようなところを作りたいっていう思いで建てました。

猫の方も、お手本になるような施設にして、収容した猫を新しい里親さんに譲渡できるよう環境を整えて、ここを日本の標準にしていきたい。

犬の方は、現在進行形で進められているので、猫の方もやっていけたらなとは思います。

北條ひ:篠山アーク紹介動画という動画を拝見したんですけれども、この立派な施設が、全てわんちゃん用の施設なんですか?

アニマルレフュージ関西|篠山アーク紹介ページ

奥田さん:おっしゃる通りです。この施設は、敷地面積として7,000坪あります。 

この動画の時は、まだ1つ目の建物で、実は既に犬の収容棟はもう1棟できてます。コの字型になってるんですけれども、犬の収容棟、専用の収容棟としては建てきれたと思います。

次に目指すところを、猫の収容棟として目標を設定して調整をしてるところです。

北條ひ:最終的には、このページの下にあるイラストのようにしたいという事ですよね。

奥田さん:そうですね、形が変わるとかは、法律とかも含めて、難しいところがありますが、理想としてはこういう形ですね。

複合の施設です。皆さんお見えになる方をお通しできるような、犬と猫のそれぞれの収容棟があって、病院設備があり、スタッフが集まってミーティングができるような建物があったりとか。 

まだ、序盤戦かなとは思います。総工費は、億単位になる大規模なプロジェクトになりますね。

北條ひ:非常に具体的な目標ですね。

奥田さん:そうですね、正直な話、お金さえあれば、一気に建てたいですが、新施設で働くスタッフの教育の課題もありまして。スタッフの経験などのマンパワーも我々のひとつの強みだと考えてます。

動物の扱いに長けた者、マネージメントに長けた者などスタッフの個々の強みはありますが、この組織に属して力をつけたスタッフが多いので、一朝一夕で即戦力が身に付くのは難しい業界ではあるので。
我々の組織の中でスタッフも育てていくことが非常に重要なのかなと常日頃思うところです。

北條ひ:大型の寄付があったとしても、スタッフの人材育成も並行して徐々に進めないと、運営は難しそうですね。

奥田さん:そうですね。スタッフの増員によってランニングコストは増えてしまうので、一時的に大きな寄付が入ったとしても、中長期的な目線では続かないです。

寄付金に頼らずということは難しいですが、持続可能な自力と+α、自分たちで何かできないかなっていうことも模索しながら、建築も進めたいんですけれども、そこも同時並行で動かしてるような状況ですね。

もちろん、建物を早く完成したい気持ちはあります。建てきらないと、日本の基準みたいなものができないような気がして。長くこの業界にいると、頑張ってるから、100頭保護したから偉いと評価されがちですが、そうではないことをしっかりと打ち出していきたいですね。

安定した数を受け入れて、安定した状態の動物をご家庭にお繋ぎするっていうところで、それが叶わない動物もきちんと施設で手厚いケアを受けながら、譲渡を希望される方を待てる環境をずっと維持するっていうんですかね。この環境を評価基準にしていく必要があります。

特に、譲渡に掛かる平均の滞在日数は日本と比べると欧米は本当に短く、1、2ケ月で譲渡されていくっていうのが普通です。大半の日本の保護施設さんは、これよりスパンが長いと思います。

北條な:滞在の平均時間というか、どれぐらいなんでしょうか。

奥田さん:うちで長い子は、本当に17、8年とかっていう子もいます。

ご縁がなくって亡くなった子もいれば、運良く最後に、関わられた方、例えばボランティアさんとかが、施設で最後亡くなるのは かわいそうだっていうことで、ご縁を感じてということはあります。

長ければ、そんな子は珍しくないです。性格がすごくいい子でも、1年程度掛かることもあります。短ければ、1ヶ月ですぐ決まる子もあいますが、長い子が多いですね。

北條ひ:施設にきてから譲渡までの期間は、3ヶ月から半年ぐらいなのかなって、予想していましたが、長い子は長いんですね。

奥田さん:あとは、犬と猫でもちょっと違ってくるかなと思います。 

もちろん、両方とも性格や行動なども譲渡に影響は与えるんですが、 猫はやっぱり子猫が好まれる傾向にありますね。

北條ひ:野良猫が多いと言われる町もありますよね。

奥田さん:猫は繁殖力が旺盛で、生まれ落ちてる数が圧倒的に多いです。大人の猫は本当に譲渡率が伸び悩んでいます。

犬に関して言うと、狂犬病予防法とかで、昔からずっと野良犬が捕まえられてきたということもあったり、そもそも犬を離すことができない、リリースできない事情もあるので、少し事情が異なるかなと思います。

Q.もし、この世の中に動物に関する法律を1つだけ作ることができるとしたら、どんな法律をつくりたいですか?

奥田さん:ファンタジー感とか全くないのですが、ただただ、動物を虐待・暴力や不適切な飼育をする飼い主から保護する法律や仕組みはほしいですね。

これは海外では、当たり前になっているので、動物に携わる日本の方たちでは悔しい思いをされてる方も多いと思います。

保護する法律は将来できたらいいなではなく、近い将来絶対に作るべきものとして捉えてます。虐待した方への罰とかっていうのもそうなんですけれども、何より、そこの状況から助け出せるような法律ですね。

ものとして捉えずに生き物として捉えて、危ないんだったら保護ができるっていう、保護できる権限を持った方をきちんと明確にするっていう、そういったところが早くできればいいなとは思います。

動物虐待っていうのが、DVであったりとか、人に向けて暴力的なものが及ぶっていうのが認知されてきたんで、海外だったら、本当にもう大昔からその話はあって、やっと今日本もそういう話が出てきたのかなと思っています。そういう法律ですね。作りたいっていうか作ってほしいですね。

北條ひ:この法律は早急に議論されるべきものですよね。

北條ひ・北條な:上山さん素敵なインタビューありがとうございました。

第3回は認定特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西の奥田さんにインタビューをさせていただきました。どうもありがとうございました。

認定特定非営利活動法人アニマルレフュージ関西 公式サイト

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