「猫のフードはどれを選べば良いの?」
市販の猫のフードの種類は日に日に増えていて、選び方が分からないですよね。
このアニポスブログでは、現役獣医師が猫の飼い主さんのお悩みを解決するお役立ち情報を執筆しています。
数限りなくある猫のフードの中からの選び方や、選ぶ前の心構え、選び方の基準などをまとめました。猫のフードを選ぶ基準が掴めます。
猫のフードは飼い主さんの無理のない範囲で、グルメになりすぎないよう様々なものを与えましょう。
もくじ
愛猫のフード選びで覚えておきたい3つの心構え
1猫は家族の一員です。
2猫は飽きやすい生き物です。マイブームがころころ変わる子もいます。
3将来、予期せぬ病気になる可能性もあります。猫ちゃんも、あなたも。
愛猫に合ったフード選びのために必要なのは「心構え」と「知識」です。
心構え?どうして?とお思いのことでしょう。
猫の病院を開業して日々飼い主さんと接する中、私が日々感じていることがあります。
それは「猫への愛情が強すぎて、冷静な選択ができなくなってしまう」場合があるということです。特に「ただ何となく、高いフードの方が良い気がする…」「この会社が良い気がする…」「ネットのクチコミが良いから…」と情報に流されやすい方は要注意。
そのフードの良し悪しを最終的に決めるのは、画面の向こうの知らない猫たちではなく、あなたの愛猫ちゃんであるということは、決して忘れないでくださいね。
猫は家族だけど、無理しすぎないフード選びを
1の「猫は家族の一員です。」については、「当たり前すぎる!」と思われる方がほとんどだと思います。では、極端な例え話をしてみましょう。
<一人暮らしのAさん。手軽にすぐ食べれるジャンクフードが大好きな、ファストフードの常連さん。ところが猫を飼い始めて一念発起!
猫には体に良いものを毎日手作りしてあげたいので、厳選された食材を求めて、築地へ。「これからは愛猫のために、毎朝築地の食材を仕入れるぞ!」Aさんはシェイク片手に、今日も…>
Aさん、そりゃ続かないよ…と、思いますよね。
なぜ皆さんがそう感じたのかといえば、たとえ「猫のために」といったところで、Aさんの日常にそぐわなければ、続かないのは当たり前だからです。
愛猫は「家族」。つまり、飼い主さんの生活に組み込むことができないようなチョイスは、始めからするべきではないのです。
極端な例え話をしましたが、実際に、飼い主さんは超節約生活なのに猫ちゃんだけは超高級フードだったり、フードを購入するためだけに遠方まで出向いて無理をしていたり、という例はしばしば目にします。
仮にこのフードを一生食べると仮定した場合、無理なく続けられるか?というのは考えるようにしていただきたいなと思います。
ネットで買える、動物病院で相談しながら買える、よく行くスーパーにある、コスパが良い、など自分にとって便利なものを選ぶのが無理しないコツです。
猫は気まぐれで飽きっぽい
「無理しない」フード選びが大切な理由は、どんなに頑張って選んで「これだ!」という銘柄を見つけても、猫ちゃんに「飽きられる可能性がある」から。
元々猫は飽きっぽい性格なのはご存知のとおりですよね。飼い主にとってこだわりの銘柄でも、愛猫が飽きたらそれまでです。
猫の年齢や環境の変化も想定してフードを選ぶ
猫ちゃんが飽きてのフード変更以外にも、子猫・成猫・老猫と年齢に応じて必要な栄養素が変わってくるため、その都度フードを変更する必要もあります。
さらに、猫ちゃんが病気になったら「処方食」という病院処方のフードを食べなければならない場合もあります。
さらに、飼い主の急な病気などで突然猫ちゃんを預けなければならなくなる可能性もゼロではありません。
猫がグルメになりすぎないよう様々なフードを与える
「うちの子はグルメだから◯◯しか食べないのよ♡」と目を細める方がいらっしゃいますが、その結果、最終的に振り回されるのは猫ちゃんです。
日々の中で、基本的には何でも食べることができるように育ててあげる必要があります。
日本で普通に流通しているフードは、基本的にある程度の安全性が保証されていますので、若くて健康な子にはとにかく色々なものを与えてみるといいですね。
猫の年齢を考えた総合栄養食を選ぶ
若く健康な猫に新しいフードを試す時は、総合栄養食かどうかを確認しましょう。
総合栄養食というのは、それ一品だけで猫が必要としている栄養素をバランス良く満たしているフードという意味です。総合栄養食であれば、基本はそれだけを食べていればOKというわけです。
ほとんどの総合栄養食は年齢別に分かれていますので、獣医師からの指示がない限りは愛猫の年齢に従って選びましょう。
それ以外のフードはいわゆる「おやつ」です。
表記としては「一般食」「間食」「副食」などと書かれています。
これらは総合栄養食のお供に少量(2割以内が目安)与えて食事を楽しくしたり、食欲をそそるようにしたりする目的で使いますので、うまく使い分けましょう。
猫ちゃんにとって「水分をたくさん摂ること」も大変重要ですので、水分摂取の目的でウェットフードを使用するのもおすすめです。
猫に初めてのフードを与える時のコツ
初めて食べるフードを試すときは、今まであげているフードに少しずつ混ぜて徐々に比率を増やしていき、1週間くらいかけて切り替えましょう。
その間にまずは便の状態をチェック。
余りに軟便になる、便が臭くなるなどの場合は愛猫には合っていない可能性があるので、そのフードはやめておいた方が無難です。悪いフードというわけではなく、愛猫には合っていなかっただけと捉えましょう。
最初のチェックをクリアしたら、次は1ヶ月後くらいを目処に毛ヅヤのチェックしてみてください。
1ヶ月前と比べて毛ヅヤが良くなっていたら、そのフードは愛猫にベストマッチしていると言えるでしょう。
猫はドッグフードを食べても大丈夫なの?
余談ですが、犬も猫も飼っている方から「猫がドッグフードを盗み食いするが大丈夫か」という質問を受けたことがあります。
キャットフードとドッグフードは見た目がよく似ていますが、当然ながらキャットフードは猫の、ドッグフードは犬の栄養要求を満たすように作られています。
特に猫はタウリンという栄養素を体内で合成できないので食事から補う必要があり、キャットフードはドッグフードよりもタウリンを多く含んでいます。
ですので、猫がドッグフードを食べ続けるとタウリン欠乏症になる可能性があります。「猫がドッグフードを食べると失明する」という噂があるのはこのためです。
しかしもちろん、猫がたまにドッグフードを盗み食いするくらいなら大丈夫です。
まとめ
大切なのはフードが自分の愛猫に合っているかどうかです。
色々と語ってしまいましたが、愛猫のフード選びの参考になる内容が少しでもあれば幸いです。
最後に、どんなに美味しくてベストなフードに出会っても、食べ過ぎたら当然肥満になります。
食事ごとの与える量はしっかりコントロールしましょうね。

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著者・谷口 史奈先生のプロフィール
動物病院3年、猫専門病院2年半勤務し、2016年8月に東京都品川区東中延に猫専門病院「猫の診療室モモ」を開院・同院長を勤める。猫の飼い主向けの講演・セミナー活動や、猫に特化した雑誌・サイトやメディアの監修や、コラムの執筆など、精力的に活動中。