昨日まで元気だったペットが急にけいれん!
突然前触れなしに起こる「けいれん」には、
慌ててしまって冷静な判断ができないかもしれません。
もちろん遭遇しないほうが良い事態ではありますが、
今日はもしもの「けいれん」への対処法と、
その原因として考えられる疾患などについて解説したいと思います。

もしもの事態に備えて対処法をしっかりと覚えておきましょう!
もくじ
ペットのけいれん:対処法
・むやみに顔を触らない
・怪我をしないよう広いスペースへ
・クッションになるタオルなどを用意
横たわって意識を失い、手足をバタバタしている際に、
顔を撫でてあげたくなるかもしれません。
ですが、このような行動は控えていただいたほうがいいでしょう。
けいれんを起こしているペットは意識を失っており、
顔周りに手を近づけると無意識のうちに噛んでしまい、飼い主様がケガをする恐れがあるからです。
また、無意識のうちに頭部をぶつけたり、手足の爪をケージなどに引っ掛けたりすることによりペット自身もケガをする可能性があるので、できるだけ広いスペースに移動してあげると共に、周囲にバスタオルや毛布などでクッションを用意してあげてください。
ペットのけいれん:動画撮影が病気を絞り込むヒントに
・診断で聞かれるのは けいれん中・後の様子、持続時間
・動画を撮影しておけば一目瞭然
一言で「けいれん」といっても、様々な種類、原因が考えられます。
通常、動物病院にいらして頂く時には、症状が治まっていることが多いので、私達獣医師は飼い主様のお話から病気を推測していくこととなります。
特にけいれんの様子、治まった後の様子、持続時間などは診断する際の重要情報になります。
症状の詳細を言葉で表現することは難しく、持続時間についても、気が動転し実際よりも長く感じてしまうことが考えられます。
スマートフォンなどで動画撮影をして頂くことが病気を絞り込むヒントになるので、
可能な限り撮影をして頂くことをお勧めします。
ペットのけいれん:5分以上続くけいれんは要注意
・受診はペットが落ち着いてから
・5分以上・断続的なけいれんは、安全を確保して病院へ
けいれんの多くは、数分ほどで治まります。
けいれんが治まり、ペットの様子が落ち着いたらかかりつけの動物病院を受診しましょう。
ただし、けいれんが5分以上続く場合や治まった後にすぐけいれんする場合には、
移動中の安全が確保できるようであれば、けいれんしている最中でも動物病院の受診をご検討ください。
ペットのけいれん:けいれんを引き起こす病気
けいれんを引き起こす病気は
「脳」か「脳以外」の大きく2つに分けられます。
動物病院にご来院いただいた際には、まず「脳以外」の病気が原因でけいれんしていないかどうかを調べていきます。
具体的には、
腎機能低下、肝機能低下、血糖値やカルシウムの低下などによるけいれんは血液検査で判断ができます。
また、「けいれん」と同じような症状で、
心臓病による「失神」が疑われる際には、レントゲン検査や超音波検査、心電図検査を行います。
「失神」は長くても1分程度で症状が治まり、治まったあとは普通どおりに様子がすぐ戻るのが特徴です。
前述した通りですが、動画撮影を行って頂くことで、発作の持続時間や発作後の様子がわかります。
私達獣医師は、発作の現場を目視できないことがほとんどなので、可能な限り動画撮影をお願い致します。
「脳以外」の病気が除外された際には、「脳」の病気を疑っていくこととなりますが、犬種や年齢などで原因疾患を推察します。
確定診断には専門施設でのMRI検査や脳脊髄液検査が必要となります。
脳の病気:MRI検査、脳脊髄液検査など
脳以外の病気:血液検査、レントゲン検査、超音波検査、心電図検査など
まとめ
動物のけいれんは様々な原因で起こりますが、
とても痛々しく飼い主様はもちろん、我々獣医師にとっても辛いものです。
まずは、できるだけ動画を撮影していただき、そこからけいれんの原因を突き止めて、可能な限り症状が出ないようにしてあげるお手伝いができれば嬉しく思います。

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著者・桑原慶先生のプロフィール
福岡市中央区唐人町のくるみ動物病院院長・獣医循環器認定医。2019年4月獣医循環器認定医資格取得。
【所属医師会】福岡県獣医師会・福岡市獣医師会・日本獣医循環器学会・九州画像診断研究会