知ることが健康管理に。年齢別犬の健康の注意点とは?

2022年5月3日

blog_author_annie


アニー先生

近年、医療の発展に伴い、多くの犬の疾病ついて診断や治療が可能になりました。

まだまだ明らかになっていないこともたくさんありますが、犬は年齢に合わせて、なりやすい疾患にある程度特徴があります。

このアニポス公式ブログでは現役獣医師が飼い主さんの悩みを解決する記事を執筆しています。


今回の記事では、犬の年齢別の疾患の頻度や特徴について解説していきます。

愛犬に異常が生じたときに適切なタイミングで動物病院を受診できるよう、飼い主さんも疾患の発生頻度や特徴について把握しておくことが大切になります。

犬はどんな病気で動物病院に来ることが多いの?

病院を受診される理由は、下痢や嘔吐などの消化器疾患と、痒みやアレルギーなどの皮膚疾患が最も多く、目や耳の疾患が続きます
これらの疾患の症状は目で見てわかりやすいことから、日常的に飼い主さんがよく気がつきやすいからです。
特に消化器疾患や皮膚疾患は、0歳齢から認められるため、愛犬を飼い初めてすぐに動物病院にかかる場合もあります。

一方で、心不全などの循環器疾患や肝炎、胆嚢粘液嚢腫などの肝胆道系疾患は、先天性のものを除いて幼少期に認められることはまれなので、ほとんどは中年齢から高齢です。このように各年齢によって、認められる疾患の頻度は異なります。

知っておくと防げる可能性がある、犬の死亡原因

犬の死亡率は年齢を重ねるごとに増加していき、10歳から14歳がピークです。
死亡原因の上位は、腫瘍および循環器疾患で、年齢別の発症割合も増加していくのが特徴です。
そのため、若い犬と高齢の犬では、発症する疾患が異なる可能性があります。

幼犬の死亡原因

消化器疾患による死亡率が高く、細菌やウイルスの感染で下痢や嘔吐が引き起こされます
幼犬は、栄養飢餓になりやすく、体力も少ないため、軽い下痢や嘔吐でも数日以上続くと重篤になりやすい特徴があります。
また、体格や筋肉が小さいため、転落や衝突などの外傷による死亡例も多くあります。
そのほかに先天的に心臓や肝臓の血管異常を持つ場合もあり、発作や成長不良等が認められる場合には注意が必要です。
また、おもちゃや衣類などを誤飲するケースも若い犬ほど多いため、犬の行動範囲に食べてしまう可能性のあるものが置かれたままになっていないかは必ず確認しましょう。
アトピー性皮膚炎や膿皮症等の皮膚疾患の発生頻度は多いですが、死亡原因になることはほとんどありません。
以下に対応策をあげていきますが、大前提は「異常があればすぐに動物病院へ」

対応策

・下痢や嘔吐が1日以上、日に3回以上認められる場合はすぐに病院へいく
・水やフードを食べない場合も1日を待たずに病院へ行く
・愛犬を迎え入れて直後の様子の変化を注視(環境の変化が影響する場合も)
・ソファや階段などの段差からの落下に十分注意する
・衣類やおもちゃなどのものを床(地面)に置かないようにする
・痙攣発作が認められた場合はすぐに病院へ行く
・咳が認められた場合はすぐに病院へ行く

成犬の場合

5歳を過ぎたころから動物病院を受診することが多くなります。
幼犬の時と異なり受診理由は多様ですが、死亡原因では腫瘍性疾患が最も多いです。
腫瘍はいろいろなところに発生するのですが、皮膚や口腔内の場合は比較的見つかりやすいでしょう。
胸部・腹部の腫瘍は外観ではほとんどわからないので、定期的に(最低年1回)動物病院を受診し画像検査を行うことを勧めます
また、犬はリンパ腫の発生も比較的多いため、体表リンパ節も意識的にチェックします。
体表リンパ節は、顎の下や脇の下、膝下の両側にあるので、揉むような形で触ってみましょう

次に多い死亡例は、心疾患を原因とする場合が多く、咳や呼吸困難、運動不耐性(運動を嫌がるようになる)が認められる場合は、すぐに動物病院を受診します。
尿量が多くなったり、尿の色がいつも薄い場合には、腎臓病の兆候である可能性があります。
食欲不振などの全身症状も併発している犬では、動物病院で血液検査、尿検査などを実施してもらいましょう。

すぐに病院へ行くべき症状

・最低年に1回の病院での定期検査(10歳ごろから死亡率が高くなるため)
・皮膚にしこりがある
・口からの出血や食事をこぼすなど口が開きづらい
・体表リンパ節が腫れている
・1日に咳が複数回続くあるいは、呼吸が早い、チアノーゼ(舌が青くなります)など
の呼吸困難症状
・水を飲む量、尿量、尿の色がいつも透明などの症状が数日続く

これまでいろいろな例をあげてきましたが、それでもあくまで一部の例にすぎません。少しでも普段と違うことがあったら、迷うこと無くすぐに動物病院を受診してほしいと思います。

アニー先生
アニー先生

気になる症状は動画や写真に残しておくと診察の時に説明しやすいのでおすすめです。

まとめ

一番重要なことは、普段からよく愛犬の様子を観察し、異常があることにいち早く気づくことです。
獣医師は、病院にきてくれた患者さんしか診ることができません。
愛犬の健康を最前線で守っているのは、他でもない飼い主さんなのです。
動物の医療には、飼い主さんの協力が必須です。難しく考えず、普段の生活から愛犬とのコミュニケーションを十分に取ることが、愛犬の健康を守る最善の対策だと覚えておいてくださいね。
この記事で、初めて愛犬を迎えた飼い主家族さんの不安が少しでも解消されれば幸いです。

(この記事の疾患別の情報は、「アニコム家庭どうぶつ白書2020」を参考にしています)

アニー先生
アニー先生

アニポス公式ブログは犬や猫などペットの飼い主さんの悩みを解決できる記事が充実してます。ブックマーク・お気に入りに追加して愛犬・愛猫との暮らしにお役立てください。

Tag

おしゃれ
おれ耳
お手入れ
くしゃみ
しこり
しっぽ
しつけ
におい
ぶどう
まとめ
アウトドア
アトピー
アトピー性皮膚炎
アナフィラキシーショック
アニマルセラピー
アメリカンショートヘア
アレルギー
アンケート
インタビュー
インフルエンザ
カビ
キシリトール
キャットフード
グルーミング
コロナウイルス
ゴールデンウィーク
サルモネラ症
シャンプー
スコティッシュフォールド
ステロイド
ストレス
ズーノーシス
ダニ
チョコレート
トイプードル
トイレ
トリミング
トレーニング
ドッグフード
ドライヤー
ノミ
ハチ
バッグ
バルトネラ症
フィラリア
ブドウ膜炎
ブラッシング
ヘルニア
ペット
ペットサロン
ペットフード
マーキング
メンタル
リラックス
レプトスピラ感染症
ワクチン
炎症
熱中症
爪とぎ
爪切り
狂犬病
狼爪
獣医師
玉ねぎ
生理
生殖器疾患
田積先生の記事
甲状腺機能低下症
病気
痙攣
皮膚病
目やに
真菌性皮膚炎
睡眠
短頭種
移行上皮癌
突発性膀胱炎
精巣手術
糖尿病
細菌性膀胱炎
結石
緑内障
避妊
肛門腺
肛門腺炎
肛門周囲腺腫
肝炎
肥大型心筋症
肺水腫
胆嚢粘液嚢腫
腎臓病
腫れ
腫瘍
膀胱
膀胱炎
膀胱腫瘍
膝蓋骨脱臼
膣炎
花粉
花粉症
薬浴
露出性角膜炎
靴下
血尿
血液検査
血便
行動
食べ物
食欲不振
食欲低下
食中毒
飲み薬
首輪
角膜障害
認知症
誤食
誤飲
骨軟骨異形成症
骨折
骨付き鶏肉
谷口先生の記事
貧血
鳥海先生の記事
鳴き声
車酔い
鼻水
SFTS
健康
健康診断
僧帽弁閉鎖不全症
分離不安
前立腺肥大症
副腎皮質機能亢進症
副作用
動物病院
動物団体
卵巣腫瘍
去勢手術
口臭
口内炎
吠える
呼吸
呼吸困難
和田先生の記事
喧嘩
嘔吐
噛む
回虫
回虫症
外耳炎
多頭飼い
多飲
多尿
大川先生の記事
失神
子犬
子猫
子宮蓄膿症
定期健診
寄生虫
寄付
小型犬
尿
尿石症
尿路疾患
尿路感染症
尿検査
屋外
山田先生の記事
心臓
心臓病
心不全
怪我
愛玩動物看護士
感染症
投薬治療
抗生剤
拘束型心筋症
拡張型心筋症
排尿障害
救急
散歩
栄養
桑原先生の記事
検査
歯磨き
歯周病
毛玉
気管虚脱
治療
注射
消化器疾患
涙やけ
涙目
下痢
下部尿路疾患
不整脈
中毒
乳腺腫瘍
予防
予防薬
予防接種
人獣共通感染症
人気
仕事
体重
体重減少
体臭
体調管理
体温
便
保護猫
to-top