食事や予防医療など医療の進歩のおかげで、
人間と同じように犬の寿命も延び、ワンちゃんの高齢化が進んでいます。
それゆえ、以前お話した高齢犬の認知症問題など、
新たな課題も増えているのが現状です。
一般に犬がシニア期に入るのは、7歳前後だと考えられていますが、
年齢を重ねたワンちゃんに快適な生活を送ってもらいたいというのは、飼い主さん皆さんの願いなことでしょう。
今日は、ワンちゃんの高齢化とは切り離せない、
シニア犬の介護について特に食事・排泄に焦点を置きながらお話していきます。
もくじ
シニア犬の介護〜食事について
・少量ずつ回数を増やす
・ドライフードは40℃のお湯でふやかす
・ペースト状の流動食も利用
・ほんのり温める
・食べる姿勢も確認
自分で食べることができる症例でも今までのようにスムーズに食事が摂れなったり、歯が悪くなってくると固いものが食べられなくなることがあります。
ドライフードをふやかして与えると食べやすくなるだけでなく消化がよくなったり、不足しがちな水分も同時に摂取することができます。
この時気をつけて欲しいのが熱湯ではなく40℃程度のお湯を使用することです。
ビタミンなどは熱で壊れてしまうため時間はかかりますが熱湯は使わずにふやかします。
缶詰などウェットタイプの食事も使用できます。
ドライフードとは違い傷みやすいので、食べ残した場合には置き餌はせず一定時間が経過した場合には処分するように、作り置きせずに1回分ずつ作るようにしてください。

ふやかすことで水分の摂取もできるのでおすすめです。
噛む力や飲み込む力が弱くなってきたらペースト食や流動食を使用することができます。
またミキサーを使用してふやかしたドライフードや缶詰を用いてペースト食を作ることができます。
与えるときは飲み込めているかを確認しながら少しずつ与え、誤嚥させないように注意が必要です。
缶詰などは電子レンジを使い適度に温めることで香りが増し、食欲増進効果があります。
自力で食事が困難な場合には経鼻カテーテルや食道チューブなどを用いて食事管理を行う方法もあります。
高齢犬ではどうしても
1回の食事量が減ってしまうため、少量ずつ回数を増やして給餌することも重要です。
また、足腰が弱くなってくると下を向いて食事をすると負担になることもあります。
食器を台に乗せ、少し高くするだけで食べやすくなります。
寝たきりの子に食事を与えるときは必ず体を起こし、食事を与えてください。
食事の際には水分摂取も忘れずに行ってください。
動物用の経口補水液もあります。必要に応じて使用することができます。
シニア犬の介護〜排泄について
・トイレは近くに、定期的に誘導
・外排泄の犬は、外に連れ出し支えてあげると排泄することも
・おむつを利用するときはかぶれ対策を
・便秘のときは肛門周りを優しく刺激
足腰が弱くなるとトイレまで移動することが負担になり、我慢しがちになることがあります。定期的にトイレに誘導したり、トイレの位置を寝床の近くに変更するといいでしょう。
トイレを失敗してしまうようになったら、おむつを利用するのもよいでしょう。
各サイズのおむつが市販されていますし、人間の赤ちゃん用のおむつに尻尾の穴を開けることで代用することもできます。
ただし、おむつを使用するとおむつかぶれしてしまうことがあるので、排泄した後はこまめにおむつを取り替え、おむつかぶれを防ぐようにしてください。また、ワセリンを塗ることで尿やけを防ぐこともできます。

おむつかぶれが無いか、おむつを替える時に確認しましょう。
足腰が弱くなると排便時に踏ん張ることができなくなり、便秘気味になることがあります。
便が少ない時には肛門周りを刺激することで排便を促すことができることがあります。
他にも
湿らせた綿棒で肛門を刺激してもいいでしょう。
また、外で排泄していた子は室内では我慢してしまうこともあります。
歩行が難しくても外に連れ出し、支えてあげることで排泄を促すことができる場合があります。
シニア犬の介護〜床ずれ(褥瘡)
・寝たきりにならないためにはリハビリが重要
・滑らないところでできる限り歩かせる
・床ずれ防止には、定期的な体位交換やクッション性のある敷物を
・関節が固まらないように曲げ伸ばしやマッサージも
高齢になり足腰が弱くなると、どうしても寝ている時間が長くなりますが、寝たきりになってしまわないためにはリハビリが必要です。
滑らないようなマットや芝生など歩きやすいところで、できる限り歩かせるようにしましょう。
支えが必要な場合には体を吊って支えることができるハーネスを使用したり、必要に応じて車椅子などもあります。

寝たきりになると飼い主さんも愛犬も辛いですね。
無理のない範囲でリハビリをしましょう。困った時は獣医師に相談しましょう。
歩行が不可能になってくると褥瘡(床ずれ)ができることがあります。
一部分に体重が集中することを避けることで褥瘡を予防できるため、定期的に体勢を変えたり、低反発などクッション性のある敷物を使用するようにしましょう。
最近は体を起こした姿勢を保てるような介護用クッションなども販売されています。
関節が固まってしまわないように曲げ伸ばし運動をしたり、マッサージで筋肉をほぐすことも有効なリハビリです。
飼い主さんとコミュニケーションすることで刺激になり、認知症の予防や治療にもなります。
シニア犬の介護〜夜鳴き
・夜鳴きはあるものとして各対策を
・認知症などで鳴き続ける場合は獣医に相談
介護をしていて避けて通れないのが「夜鳴き」です。
飼い主の生活に影響が出るだけでなく、ご近所にも迷惑がかかることもあるため、問題となってしまうことも。
ワンちゃんのほうも、体が不自由になるため何かを要求して吠えてしまったり、不安が大きくなり飼い主が近くにいないと鳴くという場合もあります。
さらに、認知症による夜鳴きの場合には、要求を満たし飼い主が側にいても鳴き続けることがあります。早期の場合には薬物による治療なども有効ですが、鎮静剤を使用しなければならないこともあります。
昼夜が逆転してしまう場合には、リハビリなどなるべくコミュニケーションを取る時間を増やし、昼に寝せないようにする。
寝る時間の前に食事をさせたりトイレの介助をすることで熟睡できるようにサポートすることが大事です。
その他に注意したいこと〜体温調節・事故・誤食
・高齢になると体温調節が難しくなります。
室温26度、湿度50%程度の快適な環境を保つようにしましょう。
・認知症になるとソファーやベッドから落下したり、事故につながることがあるため、ケージやサークルなどで安全を確保してください。徘徊して行き止まりにぶつかって立ち往生してしまうこともあるため、円形のサークルに保護クッションなどを使用して利用することもできます。
・認知機能が低下すると今まで口にしなかったようなものを食べてしまうこともあります。誤食を防ぐため届くところに口に入れそうなものを置かないことが大切です。植物なども注意が必要です。
まとめ
飼い主さんの愛犬に、健康で楽しい犬生を送ってもらうためにも、適度な運動と年齢に合ったケアを行ってあげましょう。気になる事があったら獣医さんに相談してくださいね。

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