漫画などではよく犬を玄関先の犬小屋につないでいる場面を見かけますが、最近は、ワンちゃんを室内で飼われている方が多いかと思います。
また、獣医としても、地域差はありますが、夏・冬の気候を考えるとやはり室内飼育を推奨してもいます。
もくじ
お掃除に便利なフローリング、でも犬にとっては・・・
さて、最近ではほとんどの住宅の床はフローリングになっています。
フローリングは掃除がしやすいという利点はありますが、一方ワンちゃんが室内で暮らすとなると、ツルツルと滑ってしまうことになります。
実際、自宅でボール遊びをしているとき、あるいはソファから飛び降りたときなどに、滑ってしまって足を痛めた、というワンちゃんを診察することも少なくありません。
フローリングはどうして良くないの?
フローリングの床で足が滑ってしまうことで、関節には急激な負荷(伸ばす、曲げる、ひねるなどの外力)がかかります。
本来は動くはずの方向とは異なる方向に関節が動かされてしまうこともあります。
関節への負荷によって、各種関節疾患(股関節形成不全や膝蓋骨脱臼、肩関節不安定症、変形性関節炎など)を悪化させてしまう可能性があり、それぞれ股関節脱臼や前十字靱帯断裂、肩関節脱臼などのより大きな疾患につながってしまい、手術が必要になることもあります。
脊椎に負荷がかかることで、椎間板ヘルニアについても悪化させてしまう可能性があり、ひどいと四肢麻痺や起立困難になってしまって、やはり手術が必要になることまであるのです。
ワンちゃんにとって快適な床環境を
では畳の部屋は・・・というと、確かに滑りにくくはありますが、爪で畳がささくれてしまったり、粗相をしてしまった場合のお掃除が大変だったりします。
では、どういった床にしてあげたらいいのでしょうか?
1.カーペット
すぐに取り入れることができる対策のひとつです。
ただし、 毛足が長くループ状になっているものだと爪がひっかかって折れてしまうこともありますので、毛足には注意が必要です。
できれば抜け毛がとりやすく、防ダニ加工があるほうがいいでしょう。
また、嘔吐や排泄で汚してしまうこともありますので、タイル式の洗濯しやすいもののほうがオススメです。
2.ジョイントマット
これもホームセンターや100円ショップなどで簡単に購入できます。
パネルカーペットよりも汚れや抜け毛がつきにくく、お手入れが容易なことが利点です。
ただし、イタズラ好きな子の場合、かじって飲み込んでしまうことがありますので、注意が必要です。
3.フローリングコーティング材
ペットの足が滑りにくくする効果のあるフローリング用のコーティング剤もあります。
新築やリフォームのタイミングであれば施工業者に相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ワンちゃんの足がフローリングで滑ってしまわないための対策についてお話しました。
爪が伸びすぎていたり、足裏の毛が伸びて肉球がおおわれてしまっていると、より滑りやすくなってしまいます。
こまめにお手入れしてあげましょう。
人間も動物も、いつまでもしっかりした足腰を保ち、元気に暮らしたいですね。

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著者・田積佳和先生のプロフィール
山口大学農学部獣医学科卒業。ゆう動物病院(兵庫県加古郡播磨町)院長。
JAHA認定・総合臨床医。【所属学会】(ISFM(国際猫医学会),日本獣医皮膚科学会,日本小動物歯科研究会,日本獣医動物行動学研究会,災害動物医療研究会)