気温が高くなり、暑くなってくると、私たち人間が気をつけるのは熱中症ですよね。
一方で猫は熱中症にかからないのか、気になりますよね。
このアニポスブログは現役獣医師が飼い主さんのお悩みを解決する記事を執筆しています。
この記事を読むと猫の熱中症になる場面や、対策方法も理解できます。愛猫との健康な日々のお役に立てると思います。
結論から言うと、猫も熱中症にかかります。なりやすい場面を把握し、しっかり熱中症対策を行いましょう。
もくじ
猫も熱中症にかかります
猫も熱中症にかかります。
熱中症になりやすい動物としてまず思い浮かぶのは、犬だと思います。お散歩は涼しい時間帯に行くのは犬の飼い主さんではなくてもご存知の方は多いのではないでしょうか。
では、猫はどうでしょうか?猫はもともと砂漠地方で進化した動物で、犬よりは暑さに強い動物です。ですが、熱中症にならないわけではありません。
犬猫共に、熱中症になりやすいのは「短頭種」「肥満」「高齢」「心臓や呼吸器などに基礎疾患がある」などの子です。短頭種というのはいわゆる「鼻ぺちゃ」のこと。犬では、特にリスクの高いブルドッグなどの品種が飛行機に乗れないという制限もあります。猫ではペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどが短頭種の代表として挙げられます。
また近年飼育数が飛躍的に伸びているスコティッシュフォールドやマンチカンも、やや鼻ぺちゃ気味。このような子たちも、日本古来のいわゆる雑種の子たちよりは、熱中症に対してハイリスクな品種です。

短頭種の飼い主さんは暑さに注意してあげてくださいね。
猫が熱中症になりやすい2つの場面
猫は基本的にお散歩をしないので、熱中症になる場面としては「通院などの移動中」と「留守番中」がメインでしょう。
1.移動中のキャリー
移動中は脱走対策をする必要から、キャリーバッグの中が密閉空間になりがちです。
一部がメッシュ素材になっているなど風通しの良いキャリーを選んだり、中に保冷剤を一緒に入れておくなどの対処をしましょう
移動が長時間になるときは、こまめに中の猫ちゃんの様子を確認したり、たまにキャリーバッグの中に手を入れて温度が上がりすぎていないかチェックしたりする必要もあります。
ただし脱走には十分に注意してください。首輪・リードや洗濯ネットをキャリーとダブル使いすると脱走対策に効果的です。
猫のキャリーの熱中症対策
・キャリーは風通しのいいものを
・保冷剤を利用する
・脱走に注意しながら、内部の温度をこまめにチェック
2.お留守番
お留守番中は猫が熱中症になりやすい場面のひとつです。
夏場に直射日光が入る気密性の高い部屋に長時間いると、猫ちゃんも熱中症になる危険があります。部屋の温度を最も効果的に下げられるのは、やはりクーラーです。
住居の環境によりますが、直射日光が差し込む、通気性が悪い、熱がこもりやすいといったお家にお住まいの方は、夏場はクーラーをつけっぱなしにして出かけるべきです。
室温は27~29℃くらい。犬と比べると、やや高めの室温が良いでしょう。
(犬は人間がカーディガンを羽織るくらい、猫は人間が半袖で快適なくらいが目安です。)
しかし…猫ちゃんは基本的にクーラーの風が直撃するのは好きではありません。
猫は通常、最も快適な場所を自分で見つけて移動しますので、お家の部屋数がある場合は各部屋に行き来できるようにドアを少し開けておきましょう。
逆に、何かの拍子にドアが閉まって暑い部屋に閉じ込められないよう、ドアストッパーをセットするなどして完全には閉まらないようにしておくと安心です。
ワンルームのお部屋でクーラーを使う場合は、猫のお気に入りの場所には風が当たらないようにし、寒い時にはもぐり込める毛布などのある場所も用意しておきましょう。
移動が難しくなってきた高齢の猫ちゃんの場合も同様です。
また、扇風機を活用して部屋の空気を循環させたり、防犯上可能であれば小窓を開けて網戸にしておくことでクーラーが不要になる場合もあります。
この場合、猫ちゃんの脱走対策に十分に注意してください。
猫は扇風機の風を涼しく感じない?
豆知識ですが、猫は人間と違って汗をかかないため、扇風機の風そのものを涼しいとは感じません。犬など他の動物も同じです。なので、扇風機の風を直接当てるのは全くの無意味。扇風機はあくまでも部屋に熱がこもって気温が上がるのを防ぐためのものになります。その他、カーテンを閉めるだけでもかなり気温が下がります。クーラーをつける時もカーテンを閉めると省エネ効果がありますので、ぜひ試してみてください。
猫のお留守番中の熱中症対策
・通気が悪く熱がこもる環境なら、クーラーの活用を!
・温度は「人が半袖で快適なくらい」が目安
・クーラーの直撃を避けられるように
・動線や逃げ場の確保も
・カーテンや扇風機で一工夫
日常ですぐできる、猫の熱中症対策
・水は常に飲めるように!
・肥満の子は熱がこもりやすいのでダイエットから
・クールマットもOK
・ムダ毛のブラッシングも効果的
・スマート家電を使う人も
日常でできる猫の熱中症対策としては、常に十分に水を飲めるようにしておく、肥満の子はダイエットする、ペット用のクールマットを活用する(ただし非常に好みが分かれます)、こまめなブラッシングで無駄な毛を取り除いて体に熱がこもるのを予防する、スマート家電を導入して外出中の部屋の温度やペットの様子を確認するなどが挙げられます。

私たちの熱中症対策と合わせて、愛猫への熱中症対策もしっかり行ってあげましょうね。
まとめ
皆さんの大切な猫ちゃん、わんちゃん。
暑い時期でもハッピーに過ごしてほしいですよね。
熱中症対策は、それぞれの特徴や暮らしている環境で変わってきます。
おうちのペットに合った方法を上手に組み合わせて、快適に夏を乗り切りましょう。
著者・谷口 史奈先生のプロフィール
動物病院3年、猫専門病院2年半勤務し、2016年8月に東京都品川区東中延に猫専門病院「猫の診療室モモ」を開院・同院長を勤める。猫の飼い主向けの講演・セミナー活動や、猫に特化した雑誌・サイトやメディアの監修や、コラムの執筆など、精力的に活動中。