動物が病気から体をまもる仕組みとは?|2つの免疫システム

2020年3月31日

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アニー先生

新型コロナが流行っている今だからこそ、知っておきたい「免疫システム」。
今回のアニポスブログは、ペットに特別な症状にスポットを当てるのではなく、飼い主の皆さんの知識にプラスする情報をお届けします。ペットだけでなく人間にも当てはまる「免疫」です。

生き物は細菌・ウイルス・カビなどの感染症に対する防御機構(免疫システム)があり、日常生活でこれらの病原体にさらされても、大きな問題にならないようになっています。免疫システムは「異物である病原体を認識し、排除する」ことで、自分の健康を守るものです。

「自然免疫」と「獲得免疫」。2つの免疫システム

免疫システムには2種類あって、
1.病原体を即座に認識し攻撃する「自然免疫」
2.特定のターゲットに対して免疫反応の活性化させる「獲得免疫」
があります。
私たち&ペットたちは、この2つの免疫反応を効率よく利用して、多様な病原体から身を守っています。

1.即対応の「自然免疫」

自然免疫で活躍する免疫細胞は、私たち&ペットたちの健康を最前線で守っています。病原体が体内に入ったことをいち早く感知して、すぐに病変部位へ集まり、病原体を病原体を食べて(貪食と言います)排除します。
病原体を食べた免疫細胞は、炎症のメディエーター(細胞同士で働く情報伝達物質)を出して、さらなる免疫細胞の誘導や炎症反応を進行させます。

2.対応遅いけどずっと覚えてる「獲得免疫」

獲得免疫は、無数の病原体に対する免疫反応として重要な役割を持ちます。自然免疫は病原体が侵入した際に数時間以内に反応できますが、持続効果もなく、病原体の認識精度もおおざっぱです。
獲得免疫は、侵入した病原体の情報を解析し、ターゲットを絞って強力に排除し、いったん適応できた病原体は記憶しています。過去に感染した病原体が、再度体内に侵入したら、迅速に免疫反応を起こせるんです。この反応を治療・予防に利用したものがワクチンです。ただ、この反応は早くても数日経過しなければ始まりません。

獲得免疫の主役は「リンパ球」という細胞で、大きく分けるとT細胞とB細胞 の2種類です。1つの免疫細胞だけが働いている訳ではなく、T細胞・B細胞の相互作用によってうまーくシステムを形成しているんです。T細胞が感染細胞を破壊する細胞性免疫を、B細胞は抗体を産生して病原体を排除する液性免疫を担っています。

ウイルスに感染したらどうなるか

みなさんおなじみのインフルエンザウイルス、最近では新型コロナウイルスがニュースを騒がしていますが、体内にウイルスが侵入してしまった場合に、免疫がどのように働くか見てみましょう。

ウイルスが体内の細胞に感染した場合、まず最初に自然免疫の細胞が、ウイルスが感染した細胞を即座に見つけだし、貪食します。貪食した細胞は、獲得免疫に分類されるリンパ節へ移動し、ウイルス情報をT細胞へ伝えます。情報を受け取ったT細胞は、そのウイルスを特異的に排除できるT細胞を活性化させたり、B細胞へ情報を伝達し抗体を産生させます。こんな風に、多くのウイルスを排除しているんです。
そして、ウイルスに対して反応したリンパ球の一部は、その病原体に対して高い認識能力を持つ細胞として体内に残り、次の感染に備えます(免疫記憶)。

非常に病原性の高いウイルス (認識されにくいウイルスと免疫反応を抑制するウイルスの両方)や、免疫力自体が低下している場合には重症化してしまうことがあります。

まとめ

免疫についてかんたんに述べましたが、実際の免疫反応は複雑な反応です。

免疫反応の過程のどこかに問題が生じると、重篤化する可能性もあります。

様々な疾患や治療法、ワクチンをご覧いただくときに、今回の「免疫システム」の概略を思い出していただければ幸いです。

アニー先生
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