飼い主さんは知っておきたい、動物病院で処方されるお薬のこと。

2020年8月25日

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アニー先生

今回は、ワンちゃん、猫ちゃんを病院に連れて行った時にもらって帰ることも多い、お薬のお話です。最近では薬の種類が増えただけでなく、薬の形態(例えば飲み薬であれば、固形と液剤、錠剤タイプとおやつタイプ、など)もずいぶんと選択肢が増えました。
私も患者さんの病気だけでなく、性格を考慮し、薬の飲ませやすさも考えて処方するよう心がけています。読者の皆さんも、先生からお薬について説明を受けていることと思いますが、お薬の基本がわかっていたら、もっと安心できるかもしれません。
今回は、動物病院でよく処方されるお薬についてお話ししますね。

よく処方される、予防薬はどんな薬?

まず、どんな子でも必要になる薬として、予防関係の薬が挙げられます。
犬や猫を飼われているご家庭では一般に、注射(混合ワクチン、狂犬病予防接種)、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防を行ってもらいますが、このうちフィラリア、ノミ・ダニ予防薬についてはご家庭で投与していただくことがほとんどです。

フィラリア予防薬

フィラリア予防薬には、 飲み薬と注射があります。
注射薬(1回の注射で、1年間予防効果が持続する)のメリットは投薬を忘れてしまうことが無いこと、また投与のタイミングを調整すれば、病院の繁忙期(いわゆる春の予防シーズン)を避けることができることです。
一方で多くの病院では、フィラリア予防には飲み薬での処方が多く行われています。飲み薬にもたくさんの種類があり、フィラリアだけでなくお腹の寄生虫の予防ができるもの、ノミ・ダニ予防が一緒にできるものや、錠剤・チュアブルタイプ・ゼリータイプなど薬の形態にも様々な選択肢があるので、その子の体調や性格に合わせて処方が行われています。

ノミ・ダニ予防薬

ノミ・ダニ予防薬にも様々な種類がありますが、大きく分けて スポットタイプと飲み薬タイプに分けることができます。
スポットタイプは薬を飲むのが苦手なワンちゃんや、猫ちゃんにも使いやすい一方、すぐにシャンプーをすることが出来なかったり、もし舐めてしまうと 中毒を起こすなどの注意点があります。
飲み薬であればシャンプーとの相性は良いですが、チュアブルタイプの場合、食べ物アレルギーがある子が、薬に含まれるタンパク成分に反応してしまうことがあります。また、最近のノミ・ダニ予防薬は、その他の皮膚病を起こす原因となるような寄生虫に対しても効果が見られるものもあるので、皮膚病を疑う子では、その治療を目的として上に挙げたような薬を処方することもあります。

よく処方される、予防薬以外のお薬

さて、病院でよく処方される予防薬以外のお薬についても、簡単に特徴と注意点をお話しようと思います。
動物病院もヒトの病院と同じく、たくさんの種類のお薬を取り扱いますが、よく処方されるものとして、ここでは抗生剤、ステロイド剤、心臓病の薬について紹介します。

抗生剤

まずは抗生剤についてですが、これは細菌の感染に対するお薬で、様々な場所の感染、怪我や術後の傷のケア、下痢や嘔吐といった胃腸の症状、肺炎や気管支炎などの呼吸器の症状に対してなど、いろいろな状況で使われます。
注意点としては、決められた用法・用量を守ること、体質によっては薬によって嘔吐や下痢などの副作用がでることなどがあります。
一回の量が間違っていたり投薬を忘れたりすると、薬の効果が不十分になると同時に、細菌が薬に対する抵抗力を持ってしまう耐性菌を生じさせる原因になることがあります。
もともと薬が食道に残りやすい猫に処方された場合、特にある種の抗生剤では食道炎を起こしやすいといった注意点もあります。
また、処方された抗生剤が体質に合うかどうかについては、前もって予想することが困難です。投薬によって嘔吐や下痢などの症状が現れた場合は、無理に投薬を続けず、獣医師と相談するようにしてください。

ステロイド剤

ステロイド剤も抗生剤と同じく、様々な病気で使用されます。
動物病院では、炎症止めや痛み止め、皮膚や耳の痒みのコントロール、または様々な免疫疾患において過剰な免疫を抑えるため、などの場合で主に利用されます。様々な病気で処方されるステロイドですが、副作用に注意する必要があるため、病気に応じて、「必要な量」を「必要な期間」に「絞って」使用することが重要になります。
長期間に渡ってステロイド剤による治療を受ける場合は、こまめに診察を受けて副作用をチェックしてもらうとより安全です。
また、ステロイド治療中の副作用で、食欲や飲水量が増えることがありますが、欲しがるだけ食事を与えてしまうと肥満につながりますので、食事は 普段の量を守るよう心がけてください。
お水に関しては、欲しがる分だけ与えても問題はありません。新鮮な水をいつでも飲めるように用意してあげてください。

心臓病治療薬

心臓が収縮するときに、血液を一方向に流すために働く僧帽(そうぼう)弁がきちんと閉鎖せず、心臓の内部で血液の逆流を起こす病気、僧帽弁閉鎖不全症。
初期には軽度の咳や運動不耐性(いわゆる疲れやすさ)が見られますが、進行して心不全と呼ばれる状態になると、肺水腫による呼吸困難を引き起こすことがあります。小型犬に多い病気として知られていますが、日本ではこの小型犬の人気が高いことと、そして動物の高齢化もあり、心臓病の治療薬は病院でよく処方される薬のひとつではないかと思います。
よく使用される薬には、強心剤、血管拡張薬、降圧剤、利尿薬など様々な種類があり、心臓病のステージに合わせた治療が必要になるため、症状に変わりがないように思えても、投薬を受けている子であれば定期的な診察が推奨されます。
また、現在犬用に使用されている強心剤にはチュアブルタイプのものもあり、投薬しやすい利点があるのですが、一方で、美味しすぎるためワンちゃんが盗み食いをしてしまい、過剰に摂取してしまうというアクシデントが起こっているようです。
心臓病のお薬は、ある程度まとめて処方されることも多いので、お薬の保管についても気をつけていただきたいと思います。

まとめ

今回は「動物病院でよく処方されるお薬」について、簡単に紹介しましたが、獣医師はここに挙げた他にも、たくさんのお薬を症状に合わせて処方しています。
もちろんそれぞれに対して特徴・注意点がありますので、心配なことがあれば獣医師と相談して、 より安全に投薬治療を行っていただければと思います。

アニー先生
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