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見過ごして欲しくない症状シリーズ②:下痢 下痢に隠されている病気

2021年2月9日

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アニポス獣医師
あに丸先生

ペットの気になる症状から、気をつけてあげたい病気について学ぶ、アニポスのブログby獣医シリーズ。
今日は、「ワンちゃんの下痢」というテーマで、下痢という症状に隠れている病気について解説したいと思います。

原因となる病気が隠れているかもしれない下痢とは・・?

イヌ・ネコともによく見られる症状の一つで、動物病院への来院理由としても非常に多い症状です。
多くの場合は急性、一過性の下痢で、下痢以外の症状もない(元気も食欲も普段どおりで、嘔吐も無い)パターンで、この場合は無治療または整腸剤などの軽い治療で、数日以内に改善することが多いです。
ですが、注意が必要なのはそれ以外のパターン
次のような特徴の下痢には、原因となる病気が隠れている場合があります。

下痢の程度がひどい:水っぽい便が大量に出る。多量の出血がある。
下痢以外の症状がある:元気/食欲の低下や、嘔吐など
慢性(数週間続く)あるいは再発性(改善しても再度繰り返す)
対症療法(食事の変更や整腸剤、抗生剤など)でも完全に改善しない

このような症状がある場合には、下の表のような病気が隠れている場合があるので、必要に応じて追加検査を行い、隠されている病気を見つける必要があるでしょう。

食事性・急な食事変更
・無分別/傷んだ食事
・食物不耐性/食事アレルギー
炎症性・急性胃腸炎
・慢性腸症:食事反応性腸症、抗菌薬反応性腸症、炎症性腸疾患
・リンパ管拡張症
感染症・寄生虫:回虫、鉤虫、鞭虫、ジアルジア、コクシジウムなど
・細菌:クロストリジウム、カンピロバクター、サルモネラなど
・ウイルス:パルボ、コロナ、ジステンパーなど
腫瘍性・リンパ腫
・腺癌
・消化管間質腫瘍   など
消化管以外の疾患・膵臓の疾患:膵炎、膵外分泌不全
・肝疾患
・腎疾患
・内分泌疾患:副腎皮質機能低下症   など
その他・異物
・薬物
・毒物

フードを持参するのも◯ 来院は世話をしている人が

下痢で来院した時の最初の検査は・・・というお話の前に、上の表の「食事性」そして「その他」の部分を見てください
ここにある食事自体の問題、食事内容の変更、あるいは異物の誤食などについては、問診がとても大切です。
病院を受診される際は、食事の種類や、いつ開封しどのように保管しているのかなどについても再度確認し、心配なことは何でも獣医師に相談するようにしてください。
フードの種類も最近では市販/病院専用を問わず、非常にたくさんの種類があるので、 口頭で説明するのが難しい場合には、パッケージやその写真を病院に持って来てもらうと確認が簡単です。
また、誤食が下痢の原因となっていることもあります。
特に若いワンちゃんの場合に多く、来院の際には獣医と一緒に、誤食のリスクがどの程度あるか、またはどういったものを齧ったり飲み込んだりしやすいかについて考えることになります。
ご自宅での様子がヒントになりますので、日頃からワンちゃんの普段の様子をよく把握されている方が来院するようにしてください

便の検査は新鮮な便で

異物の疑いが強い場合はレントゲンやエコーなどの画像検査に進みますが、そうでない場合、下痢に対する検査として最初に実施されることが多いのは、便の検査です。

院内で実施可能な便検査としては、顕微鏡で直接観察することと、簡易キットを用いた感染症の検査があります。
顕微鏡では虫卵(回虫など)や原虫の虫体(ジアルジアなど)、細菌のバランス、また消化管での炎症が強い場合には、便に混ざっている炎症細胞を確認することが出来ます。
ウイルスについては顕微鏡では確認出来ませんが、院内で使用可能な簡易キットで検出出来たり、院外の検査センターでウイルスを含む各種感染症の遺伝子検査を行うことも可能です。

このように、得られる情報の多い便検査ですが、注意点もあります。
可能であれば便を持参してもらうことになりますが、時間が経ったものでは、寄生虫の形が崩れて判断出来なくなってしまうので、なるべく新鮮な便が検査には適しています
また、一度の検査で確認できる便の量はわずかなので、複数回の検査でようやく寄生虫が確認できるといったこともあります。

アレルギーによる下痢なことも

また、食事のアレルギーによる下痢が疑わしい場合には、アレルギー検査を行うことがあります。
この検査では、食物中の抗原(アレルギーの原因となりうる物質)に反応する血液中の抗体やリンパ球を検出することができ、食事に含まれるタンパク質(牛肉や卵、牛乳、魚、大豆など)が検査項目となっているので、反応が認められた場合には、それらを除くことで症状の改善が見られることがあります

また膵外分泌不全(膵臓からの消化酵素がうまく出ず、消化不良を起こす疾患)では、血液中の酵素活性の測定が診断に有用なことがあります。

より本格的な検査をする場合

次の検査として行われることが多いのは、血液検査や画像検査(レントゲンやエコー検査)です。
これらの検査ですべての疾患の確定診断が出来るわけではありませんが、全身状態の把握や今後の方針を決めるのに有用です。

血液検査では、血中タンパク質の低下(一部の腸炎で見られることがあります)、炎症の程度膵酵素の異常(膵炎の診断の補助になります)に加え、他の疾患の有無(腎疾患や肝疾患など)についても評価が出来ます。

レントゲンやエコーといった画像検査では、消化管だけでなく一通りの臓器を確認することができ、異物、腸炎による消化管の腫れ、腫瘍などの評価が可能です。
慢性腸症や腫瘍に関しては、確定診断には生検(実際に組織の一部を採取して検査すること)が必要となります。

疑わしい病変が消化管であれば、侵襲性のより低い内視鏡が実施されますが、内視鏡の届かない範囲(距離的に内視鏡の届かない部位の消化管、あるいは消化管以外の腫瘍)の場合には開腹下での生検が適応となります。

ここまでの検査で診断がつかない、または追加検査として必要と判断された場合には、麻酔下でのCT検査や内視鏡検査が実施されることがあります。
CT検査は、X線を用いた体の断層撮影で、 レントゲンやエコー検査よりもさらに詳細な情報が必要な場合に適応となります。
内視鏡検査では胃や腸の内部(粘膜面)を肉眼で確認することができ、腸の粘膜の生検も可能です。
いわゆる慢性腸炎の多くは、内視鏡で診断が可能なため、より侵襲性の高い開腹下での生検と比べ、最近では内視鏡がよく用いられています。

あに丸先生
あに丸先生

「たかが下痢」と思わず、おかしいと思ったらなんでも獣医師に相談するようにしましょうね!

下痢に隠れている病気は様々で、診断のためには様々な検査が必要となります。
獣医師は検査から得た情報を元に可能性の高い病気を考え、さらなる検査を組み立てて、診断をつけていきます。
中にはリスクを伴う検査もありますので、そういった検査が必要と判断された場合には、かかりつけの先生とよく相談して、しっかり理解していただいた上で検査に臨んでいただけたらと思います。
たかが下痢」で済むことは確かに多いのですが、ペットの状態を良く見て、気になったら早めに病院に連れて行くようにしましょう。

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