見過ごして欲しくない症状Part1|嘔吐。緊急手術になることも

2021年1月19日

著者桑原先生画像

くるみ動物病院
桑原 慶先生

大切なワンちゃん猫ちゃんが吐いているのを見ると、苦しそうな様子に心配になりますよね。犬や猫の「嘔吐」の原因は様々で、内科での治療で改善するケースから緊急手術が必要なケースまで存在します
今回は若齢期・シニア期に気をつけておきたい嘔吐の原因について、それぞれ2つずつお話してみようと思います。

若年期ペットの嘔吐で気をつけたい原因

1.誤飲

年齢が若い犬猫に「嘔吐」を認める場合には、まず誤飲している可能性がないかどうか飼い主様に確認します。
ペットが「誤飲」した自覚があれば、すぐに病院に連れて来ていただけるケースもありますが、留守番中や飼い主様が目を離した隙に飲み込んでしまっているケースでは長時間経過し、腸閉塞などを起こし緊急手術が必要な場合も少なくありません。
手術で摘出した「異物」をご覧いただいた飼い主様は口を揃えて、「まさか・・・こんな物を飲み込んでいるなんて・・・」と言われます。
過去に手術が必要になったケースでは、床に敷くジョイントマット、裁縫に使う糸、桃の種などが腸に詰まって嘔吐の原因になっていました。
床に敷いているジョイントマットを食べられてしまってはお手上げですが、「飲み込めそうなものはペットの届く範囲に置かない」 「扉のついている場所に片付ける」など、異物の誤飲へのご対応をお勧めします。

アニー先生
アニー先生

誤飲しそうなものはペットの手の届かない所に置くように気を付けましょう。

2.尿道閉塞

尿道閉塞は、年齢が若くても発症する恐い病気です。
特に、雄猫ちゃんと一緒に生活している飼い主様はご注意ください。
尿道閉塞は、膀胱結石や膀胱炎により剥がれ落ちた細胞が尿道に詰まることで発症します。
尿道は、尿を体外に排泄する通り道です。尿には、体に不要な有害物質が含まれているため、尿道閉塞により排尿が出来なくなると、体内に有害物質が蓄積し、「嘔吐」「食欲低下」などの症状が出てきます。
ただし、「嘔吐」の前段階として、「排尿に時間がかかる」「尿に血が混じる」「何回もトイレに行く」などの症状が出ていることが多いと考えられます。
ペットの異変に気づかれた際には、動物病院への早めの受診をお勧めします。

シニア期ペットの嘔吐で気をつけたい原因

1.腎不全

中高齢になると腎臓を悪くする犬猫が増えてきます。
腎臓は、血液を濾過して老廃物や塩分を尿として体外へ排泄する働きを担っています。腎臓の働きが悪くなると、老廃物や毒素が体内に溜まることで、尿毒症になってしまいます。
尿毒症になると「嘔吐」「食欲低下」などの症状が出てきます。
急速に腎臓が悪くなり、尿毒症を発症する場合もありますが、徐々に腎機能が低下している場合には「飲水量の増加」「尿量の増加」などの症状が出ていることが多いです。
早い段階で診断し、治療を開始すると食餌の変更や投薬により病気の進行を遅らせることが可能です。
どんな病気でも早期発見・早期治療が肝心ですね。

2.消化管の腫瘍

犬猫も中高齢になってくるとヒトと同様に腫瘍性疾患が増えてきます。
皮膚、乳腺、肺など全身の様々な臓器が蝕まれます。
「うちの子は、年に1回、血液検査をうけているから大丈夫!」とお考えの方もいらっしゃいますか・・・?
定期的に血液検査を受けて頂くことはもちろん大切ですが、残念ながら血液検査で全ての病気が発見できるわけではありません
特に消化管の腫瘍は、患っていても血液検査では異常が出ないことも多いです。
そんな時に気をつけて頂きたいのは、ご自宅での普段の様子です。消化器系の病気の場合には「嘔吐」が出る場合が多いです。普段から吐きやすい子は判断に悩みますが、普段吐かない子が吐いた場合には、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。

アニー先生
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著者・桑原慶先生のプロフィール

福岡市中央区唐人町のくるみ動物病院院長・獣医循環器認定医。2019年4月獣医循環器認定医資格取得。

【所属医師会】福岡県獣医師会・福岡市獣医師会・日本獣医循環器学会・九州画像診断研究会

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