健康に気を配っている方なら、「8020運動」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
「80歳になっても20本以上自分の歯を」という、歯の健康についてのスローガンなのだそうです。人間は、子供の時から歯磨きを行い、自分の歯を大切にするように教えられますが、ペットの歯の健康を守るのは、私たち飼い主の役目。
今日は、あまり語られることがない犬猫の歯の生え変わりのメカニズムと気をつけてあげたい「乳歯遺残」、そして口腔ケアの大切さについて、皆さんにお話しようと思います。
もくじ
歯の生え変わりは人間と同じ
犬や猫も人間と同じように、生まれたては歯がなく、まず最初に乳歯が生えてきて、その後永久歯へと生え変わります。
乳歯は生後3週間頃から生え始め、猫は生後2ヶ月、犬は生後3ヶ月ほどで生えそろいます。
その間にミルクから柔らかいフード、固形のフードに変えていく時期になります。
乳歯がいつ抜けるのかは個体差がありますが、生後4ヶ月頃から抜けはじめ、7ヶ月齢になる頃にはほぼ全ての歯が永久歯になっていることが多いでしょう。
ご飯と一緒に飲み込んでしまっていることがよくあるので、飼い主さんが乳歯が抜けたことに気がづくことは稀です。
その際も特に体に害はなく、便と一緒に排出されるので問題ありません。
気をつけたい「乳歯遺残」
一見して乳歯か永久歯かを見分けるのは難しいと思いますが、生えかわり時期に気をつけたいのが『
乳歯遺残』です。
とくに小型犬で多く見られるのが犬歯の乳歯遺残で、いわゆる牙の歯が2本並んで生えてしまっている状態です。
犬歯は乳歯でも根が深く、自然には抜けない事がありますが、その場合永久歯の成長や並びが悪くなったり、隙間に歯垢が溜まったりとあまり良いことがありません。
また、犬歯以外の乳歯も多く残ったまま、永久歯が生え揃ってしまい、”二枚歯”状態の子も時々見かけます。
生後半年~1年というのは、避妊去勢手術をする子も多い時期で、手術前の診察で乳歯遺残が認められた場合は、手術の麻酔中に乳歯の抜歯もおすすめしています。
猫の場合乳歯遺残はほとんど見られませんが、もし乳歯遺残がある場合は、
骨の異常など別の病気が隠れている可能性がありますので、かかりつけの病院で相談して下さい。
口腔ケアは小さい時が肝心
以上の事をふまえて、飼い主さんに是非お願いしたいのは、小さい頃から歯や口を触らせるのに慣れさせておくという事です。
スキンシップの一環として、歯磨きや歯並びのチェック、口で遊ぶおもちゃなどを取り入れて、ペットの口内をよく観察してみて下さいね。
近年、歯周病は人のみならず犬猫でも多くなっていて、痛みや食欲の低下だけでなく、歯周病の原因菌によって腎臓や心臓にも負担がかかる事が分かっています。
ぜひ、歯磨きの習慣を子犬、子猫の時期からつけていって下さい。

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