犬のしつけのポイントとは?|叱るより褒めるトレーニングを

2020年8月11日

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アニー先生

遊んで欲しいオーラ満開の元気いっぱいのワンちゃん。
エネルギーが有り余ってか、思わぬものを噛んでしまったり、興奮して吠えてしまったり、お散歩中に急に駆け出したりと驚きの行動にでることもありますよね。
そんな時に大切なのが、犬のしつけ。
今日は「しつけ」について、その仕組みと、ワンちゃんにとって理想の飼い主の姿について考えていきましょう。

動物の2つの異なる学習プロセス

動物が何かを学習する(覚える)過程には、ふたつの異なったプロセスがあります。

1.パブロフの古典的条件付け

ひとつは「パブロフの犬」で知られる『古典的条件付け』。
ロシアの学者パブロフは、犬に食事を与える時に必ずメトロノームの音を聞かせていました。するとこの流れが「条件付け」られた犬は、メトロノームの音を聞いただけで唾液を出すように。
動物は新しい刺激に対して、無意識に条件反射で反応するようになります。

2.オペラントの条件付け

もうひとつは、アメリカの学者スキナーによって考案された「オペラントの条件付け」。無意識ではなく、自発的・意識的な行動を行うようになるプロセスです。ワンちゃんのことを知るために、ここでは
与えること=「正」と、取り去ること=「負」
というふたつの観点から、事例を詳しく見てみましょう。

【正の強化】◯◯をするといいことがある

例えば犬がお座りをしたら必ずおやつをあげるようにすると、お座りという行動がおやつという嬉しい結果(正)につながります。おやつを貰えると思ったら、もっとお座りをしたくなりますよね。
「いいものを与えられた」という成功体験からその行動を行おうとするようになること、これを「正の強化」と呼びます。

【正の罰】◯◯をすると、嫌なことがある

逆に、ある場面で犬が吠えるたびに苦い味がするスプレーをかけるとします。
すると、犬はその場面で吠えると苦いものが来る、と学び、吠えなくなるでしょう。このようにある行動の最中や直後に、その動物にとって「嫌なことが与えられた」場合、その行動は減少します。
これを「正の罰」といいます。

【負の強化】◯◯をすると、嫌なことが無くなる

さて、郵便屋さんが来るたびにものすごく吠えてしまうワンちゃんがいるとしましょう。郵便屋さんも怖がって、郵便受けに入れるか入れないかで逃げ出してしまったとします。
すると犬は、吠えたことで「嫌なこと(郵便屋さん)が取り去られた」という成功体験を学習します。これが「負の強化」です。

【負の罰】◯◯をすると、いいことが無くなる

最後の「負の罰」はどんな時か想像ができますか?
例えばワンちゃんと一緒に遊んでいたけれど、興奮したワンちゃんがあなたの手をガブリ。手を噛んでしまったことで、遊びという楽しいことはそこで無しになってしまいますよね。これが、「負の罰」です。

犬にも人間と同じ感情がある

例を見てみると、犬もかなり複雑な過程でものごとを理解したり、学習できることがわかります。犬も、私たち人間と同じ哺乳類。
小脳や大脳、記憶に携わる部分の海馬など脳の基本的なメカニズムは人間と同じでなのですから、学習に関する脳のメカニズムもほとんど人と変わりません。
好き・嫌い・楽しい・怖いといった感情も感じることができますし、モチベーション(やる気)だって感じます。犬は、『体験を学習する動物』としてそういった感情をしっかりと記憶することができる賢いいきものなのです。
楽しかった事や、嬉しかったことがプラスのイメージとして、強く記憶に残るのも、子供のころの楽しい思い出をずっと覚えている私たち人間と一緒。
また、犬は自分にとってプラスになるかマイナスになるかを考えて行動をとる習性があります。自分にとってプラスである方を選ぼうとするというのも、人間と同じ特徴です。

叱るより褒めるトレーニングを

そう考えると、叱ることである行動をしないよう記憶させるより、褒めることで良い行動をするという「正の強化」=プラスの方向に学習が向かうよう工夫することが大切です。
犬への精神的な負担も、叱るトレーニングよりも褒めるトレーニングの方がずっと少ないものです。飼い主さんにとっても、叱るより、褒めてあげるほうが気持ち的に楽ですよね。
「継続は力なり」という言葉の通りトレーニングも継続が大切ですが、犬にも飼い主にも負担の少ない「褒める」トレーニングは、トレーニングを継続させるためにも、大切だと言えます。

しつけで叩いてもいいの?

逆に、して欲しくないことやいけないことをした時に、つい叱ってしまったり、手が出てしまったらどうでしょう。ワンちゃんにとって、体罰はもちろんのこと、威圧的な大きな音・声はまさに「不快なもの=嫌なこと」。
さらにそれが一番自分に身近な飼い主さんからだとしたら?犬は「その行動をすると嫌なことが起こる」と学習して、行動自体は減少することでしょう。
しかし同時に、「手」=痛みを与えるもの、「威圧的な飼い主」=嫌なもの、とも学習してしまうかもしれません。
そうすると、ただスキンシップのつもりで撫でようとした時や、子供が無邪気に手を出しただけでも威嚇したり、噛みつこうとするようになったり、また、飼い主に心を開かなくなってしまうかもしれないのです。 
また「叱る」という行為には、飼い主側にストレスや罪悪感を感じさせるもの。その場合、精神的に負担が大きくトレーニングが長続きせず、途中で諦めてしまうでしょう。

ボスでなく、頼りになる保護者として

人間にとって犬は一緒に暮らし、楽しい時間も共有できる 家族のような存在。
そして、家族である人間と犬の間で1番大切なのは「信頼関係」です。犬との間に信頼関係ができていなければ、噛み付いたり、逃げて触らせないような行動に現れてしまいかねません。
ワンちゃんとの信頼関係を築いていく中で大切なのは、犬にとって飼い主は「一緒にいると楽しい」「頼れる存在」「嫌なことをしない存在」と感じてもらうこと。飼い主として、犬にとって権力のあるボスやリーダーではなく、優しく頼りになる保護者のような存在であることを目指していきたいですね。

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