「犬を飼っているけど家の中で注意すべき虫って何がある?」
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この記事では、大事な家族を守るために知っておいて頂きたい、家の中に出る虫で犬や猫、ペットに有害な害虫を5つご紹介します。
もくじ
そもそも害虫の定義とは?
「害虫」とはヒトやペット・農産物・財産などにとって有害な作用をもたらす虫と定義されています。ある視点で見たときに、その虫が害をなすのであれば「害虫」と呼ばれますが、別の視点でその虫を見れば、ヒトにとって利益になる「益虫」と判断できる場合もあります。今回は、家に出る可能性があって、ペットに悪影響を及ぼす可能性のある虫についてまとめたいと思います。
蚊
蚊に刺されると痒いですよね。これは、吸血の際に蚊が注入する唾液によってアレルギー反応を起こすためです。しかし、蚊の被害で最も恐ろしいのは蚊に刺されることにより、感染症にかかってしまうことです。犬糸状虫ともよばれるフィラリアは、蚊が媒介して犬や猫の肺動脈や心臓に寄生し、全身の血液循環や内臓に深刻な障害を与える恐ろしい虫です。一度寄生すると完治が難しい病気なので予防が肝心です。予防薬の投薬が必要な期間は地域によって異なりますので、お近くの動物病院で予防薬を処方してもらう際に尋ねて頂くと良いでしょう。

フィラリアについてはこちらもぜひ。
チャタテムシ
この虫が好むのは「湿気とカビ」です。英語で「Booklice(本のシラミ)」と呼ばれ、古本や昆虫標本などに湧くことでも知られています。もし本棚や横積みにしている本のあたりに小さい虫が歩いていたらチャタテムシを疑いましょう。
チャタテムシが厄介なのは「ツメダニ」の餌になる点です。チャタテムシ自体は噛んだり刺したりしないのですが、ツメダニは刺します。チャタテムシを放っておくと、ダニが大繁殖してペットに皮膚病を引き起こす可能性があります。
また、チャタテムシやダニの死骸を吸い込むことでアレルギーを引き起こす可能性があるので、駆除の方法についても注意が必要です。
ナメクジ・カタツムリ
日中はあまり見かけることがないのに、いつの間にかどこからかやってきて、農作物やガーデニングで栽培している植物を食い荒らすナメクジやカタツムリですが、ペットに寄生虫を感染させる可能性があるので注意が必要です。ナメクジやカタツムリは住血線虫と呼ばれる寄生虫の幼虫を体内に持っている場合があります。犬や猫が住血線虫の幼虫に感染したナメクジやカタツムリを食べてしまった場合、心臓や肺で成虫になり、呼吸器疾患の原因となります。ペットがナメクジやカタツムリを食べてしまわないように注意してあげて下さい。
ゴキブリ
針で刺したり、かみついたり、毒を有したりするわけではないゴキブリですが、その見た目から、不快感・嫌悪感をもつ人も多いようです。しかし、「イヤなものはイヤ」と毛嫌いするあまり、ゴキブリの有害性から目を背けすぎていませんか。感染症を媒介することもあるゴキブリは、実は見た目以上に恐ろしい存在です。サルモネラ菌などの人獣共通細菌や胃虫などの寄生虫を伝播し、ペットにも影響を及ぼす可能性が存在します。また、ゴキブリを駆除する殺虫剤がペットに悪影響を及ぼす可能性もあるので、種類やタイプは注意が必要です。一般的には、ガスを噴射するタイプは殺虫成分が周囲に広がるので、ゴキブリを泡で包むタイプや、凍結させるタイプのスプレーが推奨されています。
メマトイ(ショウジョウバエの仲間)
山へハイキングやキャンプに行くと、目の周りを小さな虫がまとわりついてくることがありますよね。追い払ってもすぐにまたやってくる。そんな鬱陶しいハエの仲間を「メマトイ」と呼びます。
都心部では見かけないと思いますが、家の近くに山があるような環境にお住まいの方は注意して頂いたほうが良いでしょう。メマトイは東洋眼虫という小さな線虫を媒介することが知られています。犬や猫だけでなく、時にヒトの目にも感染します。感染例は西日本、特に九州が多いようですが、近年では東日本でも確認されているようです。
まとめ
今回は家の中、家の周辺で出くわす可能性のある虫がペットへ及ぼす悪影響をまとめました。気になる虫を見かけた、気になる虫をペットが食べてしまった場合は自己判断せずに、かかりつけの動物病院へ相談してくださいね。
著者・桑原慶先生のプロフィール
福岡市中央区唐人町のくるみ動物病院院長・獣医循環器認定医。2019年4月獣医循環器認定医資格取得。
【所属医師会】福岡県獣医師会・福岡市獣医師会・日本獣医循環器学会・九州画像診断研究会

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