動物病院で「犬のワクチンどれにする?」と急に言われて「えっ、種類があるの?」と知り、悩まれることが多くあります。もういちど動物病院に行くのも面倒だし、よくわからないからここで決めちゃう。となると、後で後悔することも…。
獣医師から子犬の飼い主のみなさんに、あらかじめ知ってほしい情報です。
もくじ
犬には狂犬病以外にもワクチンがある
獣医師の鳥海です。子犬さんをお迎えされた飼い主さんは、家族でワクチン接種のための動物病院を探されてるのではないでしょうか?
動物病院選びと同時に、選んでもらいたいものがあります。それが「混合ワクチンの種類」の種類です。
ワクチンって、狂犬病予防以外にも必要なワクチンがあるんです。病院で「混合ワクチンどうしますか?」と聞かれて悩んでしまう飼い主さまが多いんです。
もちろん、獣医師の先生のお話を直接聞いて選んでもらいたいです。
でも当日説明を聞いたら、「その場で決められない、もう少し悩みたいなぁ」と思ったり、家族で意見が割れたり、後になってから「やっぱりこっちにしておけば」と思うかも。
なので、この記事で、あらかじめ選ぶポイントを知っておいてくださいね。
混合ワクチンの3つの選びかた
1.混合ワクチンは3つのグループに大別できる
2.飼い主さんの家族構成も参考に
3.今後のワンちゃんの外出頻度
1.混合ワクチンは3つのグループに大別できる
混合ワクチンの3つのグループ
1.コアワクチン
2.コアワクチン+ノンコアワクチン
3.コアワクチン+ノンコアワクチン(レプトスピラ感染症予防あり)
混合ワクチンは3つのグループに分かれ、お値段も1、2、3の順に高くなっていきます。
そもそも混合ワクチンとは?
混合ワクチンを簡単に説明すると、死にいたる可能性のある感染症から、体を守るためのものです。
現在日本では10個近い混合ワクチンの種類がありますが、大きく3つのグループに分けられます。そのため、多くの病院は2~3種類のワクチンを準備しています。
コアワクチンとノンコアワクチンの違い
コアワクチン・ノンコアワクチンの違いをお話ししましょう。
コアワクチンは、「特に致死率の高い感染症」を予防します。
ノンコアワクチンは「その他にも犬の体調に異常をきたす感染症」を予防します。致死率はそんなに高くないから大丈夫、というわけではありません。ノンコアワクチンで予防する「レプトスピラ感染症」は、犬だけでなく人にも感染するおそれがあるんです。
ほとんどの先生は、ノンコアワクチンを含む、2または3をオススメされるのではないでしょうか?
2と3の違いは「レプトスピラ感染症」予防の有無です。
このワクチンがあったほうがいいのかどうかは、「飼い主さんの家族構成」と「わんちゃんの外出頻度」によります。
2.飼い主さんの家族構成は?
お年寄りやお子さんがいるご家庭なら「レプトスピラ感染症」ありのほうを!
お年寄りやお子さんがいるご家庭では、「レプトスピラ感染症」ありのほうがよいのではないでしょうか。
レプトスピラ感染症は人にもうつる可能性があります。ご家族に免疫力の低い方がいらっしゃる場合は、人間への感染を防ぐためにも、3のワクチンをお勧めします。

レプトスピラ感染症など、人獣共通感染症に関しては別記事があるのでこちらも参考に。
3.わんちゃんの今後の外出頻度は?
・犬を連れてアウトドアに行かれる予定がある
・犬を連れて田舎に帰省する頻度が高い
・犬の散歩コースに水辺がある
この3つのどれかに該当するばあい、レプトスピラ感染症のリスクが高くなるので3のワクチンをお勧めします。
レプトスピラ感染症は、ネズミが多く保有しており、尿によって土壌や水を汚染します。なので、野生動物がいる自然に触れる機会が多いわんちゃんは、予防したほうがよいですね。
まとめ
いきなり病院で「今後の外出頻度は?」と飼い主様が言われても、なかなか思いつかないのではないでしょうか。考える時間が長くなると、病院での滞在時間が増えて、犬のストレスの原因になってしまうかも。ストレス軽減のためにも、あらかじめ、ポイントを踏まえた混合ワクチンのプランをご家族で考えておきましょう。
動物病院で獣医とプランを再検討して、スムーズに、安心できる混合ワクチンを選択してくださいね。

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著者・鳥海早紀先生のプロフィール
元動物病院院長。現在はSNSを駆使し、獣医師の仕事のリアルや、獣医師を目指す人達に向け情報を発信中。