人獣共通感染症(ズーノーシス)とは何か、どんな病気があるのか、ご存知でしょうか?
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この記事を読むと人獣共通感染症が何なのか、予防方法も理解することができます。
人獣共通感染症は動物から人へ感染する病気で、日頃の注意である程度予防できる感染症です。
もくじ
人獣共通感染症(ズーノーシス)とは?
人獣共通感染症(ズーノーシス : zoonosis)は動物から人へ感染する病気のことを言います。ズーノーシスとも言われています。
「ZOO」(動物園)という単語は、学校で習って皆さん覚えている言葉ではないでしょうか。「zoo」という単語はもともと古代ギリシアの「いきもの」という言葉に由来するそうです。
世界では150種類以上もの人獣共通感染症があるそうですが、日本で発生が確認されているものは数十種類程度と言われています。
病原体はウイルスや細菌だけではなく、微生物であるリケッチアや真菌、寄生虫など様々なものがあります。感染している動物から直接感染したり、汚染された水や土壌などを介して感染するもの、食品を介して感染する病気もあります。
5つの代表的な人獣共通感染症
1.狂犬病【犬】
犬を飼っている人なら知っているはずの 「狂犬病」も人獣共通感染症の一つです。現在国内での発生はありませんが、海外では今でも発生が見られる疾患で、2020年海外の野犬に咬まれて日本に帰国した方が亡くなりました。
発症してしまうと致死率がほぼ100%で有効な治療法がないため、海外から国内に狂犬病ウイルスの侵入を防ぐべく、日本では狂犬病予防法で飼い犬には登録と年一回の予防接種を義務付けています。

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2.レプトスピラ感染症【犬】
犬の混合ワクチンの中に含まれている「レプトスピラ感染症」も人獣共通感染症の一つです。
かつては年間50人以上の死亡例が報告される感染症でしたが、衛生環境向上により発生は著しく減少しました。しかしそれでもなお現在も西日本を中心に毎年30例程度の人が感染しています。
保菌している ネズミ、犬、家畜などとの接触や保菌動物の尿で汚染された土壌が感染源とされています。大雨や洪水の後にネズミと接触する機会が増えるため危険性が高まります。
3.バルトネラ症【猫】
「バルトネラ症」は別名猫ひっかき病とも呼ばれ、咬傷やひっかき傷から感染します。
動物では無症状ですが、人が感染すると発熱やリンパ節の腫脹が特徴です。動物同士ではノミが媒介するため、ノミ予防をすることで感染を防ぐことができます。
4.サルモネラ症【亀などの爬虫類・犬・猫】
「サルモネラ症」はサルモネラ菌が付いた食品からの感染が一般的ですが、その他、犬、猫、カメなどの爬虫類から感染することもあります。
カメの保菌率は50〜90%と報告されており、症状を示さないため、すべての爬虫類はサルモネラを保菌している可能性があると考え、飼育することが重要です。サルモネラを糞便中に排泄するため、飼育水もサルモネラが存在する可能性があります。
5.重症熱性血小板減少症(SFTS)【マダニ・犬・猫】
マダニに咬まれることにより感染する「重症熱性血小板減少症(SFTS)」も人獣共通感染症の一つです。
また発症した犬や猫の体液から感染することも報告されています。マダニが生息する 山や草むらで活動する際にはマダニに咬まれないようにするなど対策が必要です。
人獣共通感染症を予防する5つのポイント
- 動物とのキス、スプーンや箸の共有、一緒に寝るなどのペットとの過度なスキンシップは避ける。
- 動物に触ったら必ず手洗いをする。また、公園など屋外で遊んだ後の手洗いも忘れずに。
- 動物の糞尿はすぐに処理するなど、動物の飼育スペースは清潔にする。ペットは健康管理や予防医療を行い適切に飼育する。
- 野生動物を家庭に連れ帰らない。
- 体調が悪い場合には早めに医療機関を受診する。その際、ペットの飼育状況を医師に伝えることも重要です。
何気なくやっている行動が病気に繋がる事も。
愛犬や愛猫とのスキンシップはとても大切ですが、予防接種や手洗い、こまめな掃除など基本的な事は忘れないようにしましょう。
まとめ
人獣共通感染症は、日頃の注意である程度は予防をすることができる感染症です。
室内で飼っているいきものでも、過剰なスキンシップは避け、また予防接種は定期的に忘れず行うようにしましょう。

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