春になると、狂犬病ワクチンや混合ワクチン、フィラリア症予防やノミ・マダニ予防などで愛犬・愛猫を動物病院へ連れていく飼い主さんも多いと思います。その際に、定期健診を受けさせる人も少なくないかと思います。
一口に健康診断といっても、簡単な身体検査から血液検査や尿検査、画像診断などの詳しい検査までいろいろありますよね。ではどれくらいの頻度で健康診断を受けると良いのでしょうか?
サロンでの健康チェックとの違いはどこにあるのでしょうか?
このアニポスブログは現役獣医師が飼い主さんの悩みを解決します。記事を読むことで、定期健診をなぜ受けなければならないのか、どんな検査を受ければ良いのかの指標になります。
犬や猫の定期健診は毎年1回は受けましょう。
もくじ
犬や猫の定期健診は毎年1回は受けましょう
犬猫の定期健診(定期健康診断)の頻度は、若齢の場合は年1回、中高齢の場合は年2回以上の健診をおすすめしています。
犬も猫も、人間に換算すると1年で4-5歳ほど歳をとると言われており、年1回の健診でも人間になおすと4-5年に1回に相当します。
それを考えると、やはり年1回以上は定期健診を受けておくといいでしょう。
犬や猫の定期健診は血液検査から
定期健康診断の検査は様々ですが、まず血液検査を受けることが多いと思います。血液検査では肝臓、腎臓などの内臓の機能や貧血などを調べることができます。
内分泌疾患や初期の腎臓病も血液検査で調べることができます。特に高齢の猫は甲状腺機能亢進症や慢性腎臓病の発生が少なくないので、これらの検査を積極的に取り入れてもいいと思います。
他には、レントゲン検査、エコー検査といった画像診断も体の中の臓器の大きさや構造の変化を調べるのに有用ですので、必要に応じて検討してもいいでしょう。
犬や猫の定期健診とペットサロンの健康チェックの違い
日常的にペットサロンを利用されている方も多いでしょう。
シャンプーやドライイング時に被毛をかきわけて処置をしますので、トリマーさんが小さな皮膚病変にも気付いてくれることもあります。実際に、トリミング時に皮膚病変を指摘されて来院される方も少なくありません。
また、なじみのトリマーさんだと、施術時の動物の様子の変化から体調の変化に気付いてくれることもあります。
しかし、考えられる病態や、容態の深刻さ、緊急性の有無についてはトリマーさんには判断が難しいところでしょう。例えばお腹の中の臓器の変化や心臓機能の変化、結石などは進行するまで症状がないことも多く、サロンで気がついてもらうことも難しいと言えます。
特に慢性疾患の早期発見は難しく、何らかの症状が出てからの受診になりがちです。
しかし、日頃から定期健診を受けておけば、動物病院での早期発見をしてもらうことができます。
早期発見ができるという点が、定期健診のメリットであり、サロンとの違いだと言えるでしょう。
獣医師が犬や猫の定期健診で飼い主さんに持ってきてほしいものとは?
定期健診の際は尿や便も持って行くことをおすすめします。
排泄物は、動物に負担をかけることなく、体のいろいろな変化を教えてくれる大切な情報源ですので、是非活用しましょう。

愛犬・愛猫と健康で長く暮らせるように、定期健診は受けましょうね。
まとめ
犬や猫の定期健診は毎年1回は受けましょう。
定期健診(定期健康診断)の受診頻度やそのメリットについてお話しました。
人間も動物も病気の早期発見が大切です。
いつまでも愛犬・愛猫と一緒に元気で楽しく暮らせるよう、予防医療や定期健康診断をしっかり活用しましょう。
著者・田積佳和先生のプロフィール
山口大学農学部獣医学科卒業。ゆう動物病院(兵庫県加古郡播磨町)院長。
JAHA認定・総合臨床医。【所属学会】(ISFM(国際猫医学会),日本獣医皮膚科学会,日本小動物歯科研究会,日本獣医動物行動学研究会,災害動物医療研究会)