「ヨークシャー・テリアがなりやすい病気は何?」
「ヨーキーの健康管理で特に気をつけるべきことは?」
「うちの子に出ているこのサイン、もしかして病気?」
気になりますよね。
このアニポス公式ブログでは現役獣医師が飼い主さんの悩みを解決する記事を執筆しています。
この記事では、ヨークシャー・テリアが遺伝的にかかりやすい3つの好発疾患(歯周病・膝蓋骨脱臼・たんぱく漏出性腸症)について、最新データをもとに症状・リスク・飼い主ができる健康管理のポイントまで詳しく解説します。
結論として、ヨークシャー・テリアは本来長寿で丈夫な犬種ですが、今回紹介する3つの疾患を早期発見し日々の健康管理を徹底することで、健康寿命をさらに延ばすことができます。
もくじ
ヨークシャー・テリアの特徴と好発疾患を知る重要性
ヨークシャー・テリア、通称「ヨーキー」は、その美しい被毛と「動く宝石」と称される気品、そしてテリア種らしい勇敢な性格で、古くから多くの飼い主様に愛されてきました。近年の大規模な調査によると、ヨークシャー・テリアの平均寿命は犬全体の平均よりも1.5年以上長く、非常に健やかで長生きな犬種であると言えます。しかし、長く一緒に過ごすためには、この犬種が遺伝的にかかりやすい病気、いわゆる「好発疾患」を正しく理解し、早期発見・早期治療に努めることが欠かせません。今回は、ヨークシャー・テリアを家族に迎えている飼い主様に特に知っておいていただきたい3つの疾患について、最新の知見を交えて詳しく解説します。
歯周病(および乳歯遺残)|ヨークシャー・テリアがなりやすい病気①
ヨークシャー・テリアにおいて、最も頻繁に認められる健康上の問題は歯周病です。
歯周病の現状とリスク
調査によれば、ヨークシャー・テリアの約20%が歯周病と診断されています。これは全犬種の平均的な有病率の約2倍に近い数字であり、非常に歯周病になりやすいことを示しています。
なぜヨーキーは歯周病になりやすいのか
ヨークシャー・テリアは顎のサイズに対して歯が密集しており、食べかすが溜まりやすい傾向にあります。また、乳歯遺残も約3%の割合で見られ、これも歯周病を悪化させる一因となります。乳歯が抜けないまま永久歯が生えると、歯並びが悪くなり、歯垢が蓄積しやすくなるためです。
飼い主様ができる歯周病予防と健康管理
歯周病は進行すると痛みだけでなく、心臓や腎臓など全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。毎日の歯ブラシによるホームケアが最も重要です。もし歯ブラシを嫌がる場合は、デンタルガムやデンタルシート、あるいは歯科用フードなどを活用し、少しずつ慣れさせてあげてください。また、子犬の頃に乳歯が正しく生え変わっているか、定期的に動物病院でチェックを受けることも大切です。具体的なデンタルケアの方法は、犬や猫も歯周病になる?お口の健康はデンタルケアで守ってあげましょう!でも詳しく紹介しています。
膝蓋骨脱臼(パテラ)|ヨークシャー・テリアがなりやすい病気②
小型犬に多いトラブルとして知られる膝蓋骨脱臼も、ヨークシャー・テリアが注意すべき疾患の一つです。
膝蓋骨脱臼の現状とリスク
ヨークシャー・テリアでの有病率は約3%と報告されていますが、これは犬全体の平均の3倍以上です。別の研究では、他犬種と比較して膝蓋骨脱臼を起こすリスクが7倍も高いという結果も出ています。
パテラの症状と特徴
多くは先天的な骨格の構造に関連する「発育性」のものです。後ろ足の膝のお皿(膝蓋骨)が本来の溝から外れてしまうことで、スキップのような歩き方をしたり、足を挙上したりするようになります。重症化すると、将来的に変形性関節症を引き起こし、慢性的な痛みや歩行困難につながる恐れがあります。
膝蓋骨脱臼を防ぐ管理のポイント
激しいジャンプや滑りやすい床での生活は膝への負担を大きくします。ワンちゃんの体にいい床を参考に、絨毯を敷くなどの環境整備や、適切な体重管理を心がけてください。小型化が進んだ個体ほどリスクが高い傾向にあるため、無理なダイエットではなく、健康的な体格を維持することが重要です。
たんぱく漏出性腸症(PLE)|ヨークシャー・テリアがなりやすい病気③
最後に、あまり聞き慣れないかもしれませんが、ヨークシャー・テリアで非常に重要な疾患がたんぱく漏出性腸症です。
たんぱく漏出性腸症の現状とリスク
ヨークシャー・テリアはこの疾患の発症リスクが極めて高く、他犬種と比較して約10倍も発症しやすいというデータがあります。
たんぱく漏出性腸症はどのような病気か
腸のリンパ管が拡張したり(リンパ管拡張症)、慢性的な炎症(リンパ球形質細胞性腸炎)が起きたりすることで、血液中の大切な栄養素である「たんぱく質(アルブミン)」が腸から漏れ出てしまう病気です。
見逃してはいけない注意すべきサイン
主な症状は慢性的な下痢や嘔吐、元気消失ですが、進行すると血液中のたんぱく質が極端に減り、胸水や腹水が溜まってお腹が膨れたり、呼吸が苦しくなったりします。また、血液中のマグネシウムやカルシウムの濃度が低下することで、体が震える(振戦)やけいれんのような症状が出ることもあります。
たんぱく漏出性腸症の治療について
この病気が疑われる場合は、低脂肪食などの特殊な食事療法や免疫抑制剤による治療が必要になります。ヨークシャー・テリアで「たかが下痢」と放置するのは危険です。特に体が震えている、お腹が異常に膨らんでいるといったサインがあれば、すぐに獣医師に相談してください。
ヨークシャー・テリア以外の犬種の好発疾患については、ミニチュアシュナウザーのなりやすい病気3選|高脂血症・FCE・洞不全症候群を獣医師が解説でも解説しています。あわせてご覧ください。
まとめ|ヨーキーの好発疾患と毎日の健康管理
ヨークシャー・テリアは、本来とても丈夫で長生きな素晴らしい犬種です。しかし、今回ご紹介した「歯周病」「膝蓋骨脱臼」「たんぱく漏出性腸症」は、いずれもヨークシャー・テリアが特に気を配るべき疾患です。日々のコミュニケーションの中で、「口臭はないか」「歩き方に違和感はないか」「お腹の調子はどうか」を意識してチェックしてあげてください。定期的な健康診断を受けることで、これらの好発疾患の兆候を早期に見つけることができ、結果として愛犬の健康寿命をさらに延ばすことにつながります。「うちの子は元気だから大丈夫」と思わず、ぜひ私たち獣医師と一緒に、大切な家族の健康を守っていきましょう。
愛犬の犬種別に気をつけたい病気を確認したい方は、犬類別!気をつけたい病気の記事まとめもあわせてご覧ください。
著者・桑原慶先生のプロフィール
福岡市中央区唐人町のくるみ動物病院院長・獣医循環器認定医。2019年4月獣医循環器認定医資格取得。
【所属医師会】福岡県獣医師会・福岡市獣医師会・日本獣医循環器学会・九州画像診断研究会
