猫を飼い始めたばかりの方や、これから猫を飼いたいと興味のある方は猫のライフステージごとの注意点や特徴を知っておきたい。と考える方もいるのではないでしょうか。
この記事は現役獣医師が猫のライフステージ(年齢)別の注意点や特徴などをお話します。
この記事を通して猫の年齢ごとの特徴を知り、猫との生活をより充実したものにして頂ければと思います。

愛猫と長く一緒に過ごすためにも知っておきましょう。
もくじ
赤ちゃん(産まれてすぐ~2ヶ月前後)
産後すぐから、2ヶ月前後までの赤ちゃん猫は体調急変に注意が必要です。
まだヨチヨチ歩きで、視力や聴力も未発達の時期です。頻回にミルクを飲ませ、排泄の手助けをし、充分に暖かくした環境で育ててあげる必要があります。
一般的な里親募集やショップからのお迎えでは、赤ちゃん時期の譲渡は不適切と認識されています。
生後間もない猫ちゃんと一緒に暮らす経緯は様々ですが、大抵の場合は自分で捨て猫を保護したり、保護した方から譲り受けたり、やむおえない事情でお世話することになった猫ちゃんの看護という認識になります。
この時期の子猫は些細なことで体調が急変する場合もあるので、不安を感じたらすぐに獣医師に相談しましょう。
子ども(生後2ヶ月~6ヶ月前後)
生後2ヶ月を過ぎた猫は、人との暮らしに慣れるわんぱく盛りに。
離乳がすすみ、体つきがしっかりして、歯が生え変わります。日に日に体力がつき、楽しいことだらけのわんぱく盛りです。遊んでも遊んでも足りない!という時期なので、思う存分に遊ばせてあげましょう。
ただしおもちゃやビニール、薬などの誤食に注意してください。
また、子ども時期に色々な体験をさせてあげると、将来の猫ちゃんの人生が大きく変わってくるといえます。
具体的には、爪切りや歯磨き、投薬、通院などができる猫ちゃんになれるように、日頃から「体中を触る」「爪や歯に触る」「口を開けさせる」「キャリーバッグに入れる」などを、スキンシップに取り入れていただきたいです。
できればキャリーバッグに入れて家の周りを1周散歩するなどもおすすめ。
お出かけに嫌なイメージを持たないようにしておくと、いざという時の通院や災害時の避難の時にも役立ちます。お散歩の際は脱走対策に細心の注意を。
青年(生後6ヶ月~1歳)
生後6ヶ月ごろを目安に、避妊・去勢手術をしましょう。
避妊・去勢手術を行うことで生殖器系の病気にかからなくなるだけでなく、マーキングや発情もなくなり、人間も猫もストレスが軽減し暮らしやすくなります。
ただし手術をした猫はしていない猫よりも消費カロリーが減り、太りやすくなります。手術をしたら成猫用のカロリー低めのフードに切り替えましょう。
まだまだ遊び盛りなのでたくさん遊んであげてください。
成人(1歳~6歳前後)
猫ちゃんの生涯の中でいちばん病気や怪我が少なく、安定した時期がこの成人時期でしょう。
それでも年1回の定期健康診断とワクチン接種は忘れずに連れて行ってあげましょう。
ワクチンは獣医師の判断によっては3年に1回など間隔が開くこともありますが、健康診断は毎年行いましょう。
猫の1年は、人間に換算すると4-5年程度に相当しますので、毎年健康診断を行っても猫にとっては「4年に1回」くらいなのです。
またこの時期にかかりやすい病気として代表的なものに下部尿路疾患があります。
下部尿路疾患は膀胱炎や尿石症(膀胱結石など)といった、おしっこのトラブルのことです。
排泄物の様子、排泄の回数や1回の量などは常に把握しておき、異変を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
初老(7歳~15歳前後)
人間でいう40~70代と幅広い年代の時期です。
毛艶が悪くなったり、疲れやすくなったり、食事量が減ったりなど、加齢のサインが現れ始めるのがこの「初老」の時期。早期発見・早期治療が大切です。
慢性腎臓病や慢性膵炎、甲状腺機能亢進症、歯周病、関節症などの慢性的な病気に気づくのもこのあたりです。これらの病気は目立った特異的(その病気だけに特徴的)な症状が少なく、ただの老化として見過ごされてしまうことも多々ありますが、早期発見・早期治療が何より重要です。
高齢期に入ったら健康診断は半年に1回にすることをおすすめします。
若い頃と比べると活動量は減りますが、おもちゃで遊ぶのは好きな子がほとんどです。スキンシップもしっかりとってあげましょう。
また、本人も気づかないうちに身体能力が低下していくので、今までジャンプできたところに登れなくなったりします。思わぬ事故や怪我につながることもありますから、登りづらそうな所には台を置くなどの対処をしてあげてください。
食欲が減って痩せる子もいれば、一方で運動量が減って太る子もいます。体重も定期的にチェックしましょう。
老猫(16歳以上)
人間に置き換えると80代以上の長生き猫ちゃん。
一日の大半を寝て過ごす子が多いですが、狩りの本能がなくなるわけではないので、体力に合ったおもちゃで刺激してあげるのはおすすめです。
食事のムラが目立ったり、嘔吐や下痢など今までになかった症状も現れるでしょう。大抵の子は体重が減ってきます。
「そろそろ寿命かな…」と思う場面も出てくると思いますが、本人が辛そうにしていたら迷わず動物病院を受診し、生活の質(QOL)の維持につとめましょう。
人間同様、ガンや進行性の病気になる猫ちゃんも多くいます。
もしそうなったらどこまでの治療を希望するか、どんな暮らしを送るか、元気なうちから考えておくと、いざという時にパニックにならずに対処できますね。
まとめ
猫ちゃんの年齢別、特徴と注意点でした。
これから猫を飼う方はもちろん、既に飼っていらっしゃる方も、愛する猫ちゃんの幸せな一生のために、ぜひ参考にしてくださいね。

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著者・谷口 史奈先生のプロフィール
動物病院3年、猫専門病院2年半勤務し、2016年8月に東京都品川区東中延に猫専門病院「猫の診療室モモ」を開院・同院長を勤める。猫の飼い主向けの講演・セミナー活動や、猫に特化した雑誌・サイトやメディアの監修や、コラムの執筆など、精力的に活動中。